Alexa Skills Kit音声デザインハンドブック
このドキュメントでは、Alexa Skills Kitでサポートされるカスタムスキルについて概説します。このセクションの説明に一通り目を通せば、すぐにスキルの開発に取りかかることができます。作成するAlexaスキルを使いやすいものにして多くのユーザーに利用してもらうには、新しいAlexa音声設計ガイドを参照して、音声ユーザーインターフェース(VUI)を設計する際の考慮点とベストプラクティスを確認してください。
概要
優れたカスタマーエクスペリエンスを提供するためには、ユーザーが以下を実行できなければなりません。
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Alexaスキルに話しかけて応答を受ける。
ユーザー: Alexa、Astrology Dailyで獅子座の星占いをして
Astrology Daily: 今日の獅子座の運勢です。仕事でチャンスが訪れます。 -
Alexaスキルに何かを実行するようリクエストし、スキルからアクション完了の通知を受ける。
ユーザー: Alexa、Score Keeperでトムに5ポイント追加して。
Score Keeper: トムに5ポイント追加しました。
ユーザーがスキルに「質問」するか「リクエスト」するかにかかわらず、ユーザーが何かを言うとAlexaが即座に応答し、対話が完了する、というすばやい情報のやり取りが行われます。このような単純なシナリオが、最も効果的で最もユーザーを満足させるシナリオです。
以下に、スキルの機能にユーザーがアクセスするための3つの方法を説明します。また、上記のような簡潔かつ期待通りの対話にユーザーを導く方法についてのアドバイスも記載します。ユーザーは、最も言いやすい言い方を使います。対話が長くなる可能性のあるスキルの場合、ユーザーを正しく導くことが重要です。
このドキュメントで説明するガイドラインは、カスタムスキルのためのカスタム対話モデルに関するものです。スマートホームスキルAPIを使用する場合は、開発者が自分で対話モデルを作成する必要はありません。作成可能なスキルの種類については、スキルの種類についてを参照してください。
サポートされる呼び出しタイプ
ユーザーは、主に3つの方法でAlexaスキルとの対話を開始できます。Alexa Skills Kitの最初のリリースでは、以下の呼び出しタイプがサポートされています。以下のセクションで、各タイプについて説明します。
フルインテント
「フルインテント」とは、リクエスト(インテント)を満たすために必要なすべての情報を1回の発話で提供するタイプのリクエストです。以下に例を示します。
ユーザー: Alexa、Astrology Zoneで獅子座の星占いをして。
Astrology Zone: 今日の獅子座の運勢です。仕事でチャンスが訪れます。
これが最も一般的なタイプの対話です。通常、ユーザーはリクエストを満たすためのステップをできる限り少なくしたいと考えているので、「フルインテント」のフレーズが最も簡単な方法と言えます。ユーザーが最初の発話でリクエストに必要な情報をすべて提供した場合は、簡明な応答を返し(例については、Alexaが話す内容を参照)、対話を終了します。
スキル詳細カード(ユーザーがAlexaアプリで新しいAlexaスキルを探すときに表示される情報)にサンプルフレーズを表示する場合は、「フルインテント」のフレーズだけを使用してください。これにより、ユーザーはスキルを有効にする時点で、最も効率的な使用方法を知ることができます。また、すべての機能を網羅するようにサンプルフレーズを選択することをお勧めします(スキルを使用したことがないユーザーにスキルの使用方法を口頭で説明するつもりで選択してください)。以下に、ゲームのスコアを記録するスキルのサンプルフレーズをいくつか示します。
- ユーザー: Alexa、Score Keeperで新しいゲームを開始して
- ユーザー: Alexa、Score Keeperでジョンをゲームに追加して
- ユーザー: Alexa、Score Keeperでジョンに5ポイント追加して
- ユーザー: Alexa、Score Keeperにスコアを聞いて
パーシャルインテント
ユーザーの行動は予測できません。そのため、リクエストに応えてアクションを実行するために必要な情報が、一部しか提示されない場合も想定する必要があります。これを「パーシャルインテント」といいます。たとえば、次の通りです。
ユーザー: Alexa、Astrology Dailyで私の星座の星占いをして。
Astrology Daily: どの星座ですか?
この例では、ユーザーはインテント(星占いをして)を表明しましたが、必要なスロット(星座)の値を提示しませんでした。このような場合は、足りない情報を特定して、次のようにユーザーをガイドして、必要な情報を引き出します。
ユーザー: Alexa、Astrology Dailyで私の星座の星占いをして。
良い例 | 悪い例 |
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Astrology Daily: どの星座ですか? ユーザー: 獅子座。 Astrology Daily: 獅子座の今日の運勢は… |
Astrology Daily: [エラーイアコンを再生し、スリープに入る] (この「パーシャルインテント」のユースケースでAstrology Dailyが応答を返さないと、対話はタイムアウトになります。Astrology Dailyと対話したいユーザーは、リクエストを最初からやり直さなければなりません。これは良いユーザーエクスペリエンスではありません。) |
インテントなし
スキルを初めて使用するユーザーは、Alexaにスキルの起動をリクエストするだけで、具体的なリクエストを言わない場合があります。これが「インテントなし」のユースケースです。このような場合は、ユーザーにどのようにスキルと対話すればよいか、ヒントを与える必要があります。たとえば、次の通りです。
ユーザー: Alexa、Car Fuを起動して。
Car Fu: Car Fuです。配車または料金の見積もりをリクエストできます。どちらにしますか?
ユーザーがスキルを初めて使用する場合、対話を誘導することが極めて重要です。ユーザーがすぐに使い始められるよう、短い選択肢のリストを提示することをお勧めします。このようにメニュースタイルのプロンプトを採用することで、非常に限定的な応答を引き出すことができます。一般に、プロンプトで提示する選択肢は、3つ以下にしてください。4つ以上の選択肢が示されると、選択が難しくなり、使い勝手に不満を感じて、興味が薄れる可能性があります。
以下に、初回ユーザー向けの、このタイプのエクスペリエンスの例を示します。
ユーザー: Alexa、Car Fuを起動して。
良い例 | 悪い例 |
---|---|
Car Fu: Car Fuです。配車または料金の見積もりをリクエストできます。どちらにしますか? ユーザー: 配車を頼んで。 Car Fu: リクエストを送信しています。車が到着したら、モバイルのアラートでお知らせします。Car Fuのご利用、ありがとうございました。 |
Car Fu: Car Fuを開いています。 ユーザー: (ここでユーザーに選択肢を示さないと、スキルで何ができるのか、ユーザーにとって明確ではない可能性があります) |
プロンプトのタイプ
Alexa Skills Kitは2つのタイプのプロンプト(開発者がテキストで指定し、ユーザーがAlexaの音声で聞くテキスト)をサポートしています。プロンプトのタイプに応じて、対話が継続するか終了するかが決まります。
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質問: 質問で終わるプロンプトは、ユーザーに対話を続けるように促していることを意味します。
ユーザー: Alexa、Astrology Dailyを開いて私の星占いをして。
Astrology Daily: 何座の星占いですか?
対話は開かれたままで、ユーザーの応答を待っています。 -
ステートメント: ステートメントで終わるプロンプトは、対話が終了することを意味します。
ユーザー: Alexa、Astrology Dailyを開いて魚座の星占いをして。
Astrology Daily: 今日の魚座の運勢です。今の自分の生き方に疑問を感じるかもしれません。支えてくれる友達や家族を大事にしてください。
対話が終了します。
関連トピック
その他のリソース
音声インターフェースの設計については、次の書籍も参照してください。
- Designing Voice Interfaces: Principles of Conversational Experiences(Pearl著)
- Wired for Speech: How Voice Activates and Advances the Human-Computer Relationship(Nass、Brave共著)
- The Elements of VUI Style: A Practical Guide to Voice User Interface Design(Bouzid、Ma共著)
- Don't Make Me Tap! A Common Sense Approach to Voice Usability(Bouzid、Ma共著)
- The Voice in the Machine: Building Computers That Understand Speech(Pieraccini著)
- Voice User Interface Design(Cohen、Giangola、Balogh共著)