APLアクセシビリティガイド
Alexa Presentation Language(APL)を使用するスキルを作成する場合、すべてのユーザーに対して視覚要素へのアクセシビリティを確保するようにしてください。障がいが一時的、永続的、特定の条件下であるかを問いません。
アクセシビリティを備えたAPLスキルとは
アクセシビリティを備えたAPLスキルとは、それぞれ異なる障がいや制約のあるユーザーにも快適なエクスペリエンスを提供できるスキルのことです。音声、タッチ、スクリーンリーダーインターフェースで操作できるカスタムスキルは、より多くのユーザーに対応するアクセシビリティを備えています。
- 目の不自由なユーザーは、音声かスクリーンリーダー、あるいは両方を使ってスキルと対話できます。
- 耳の不自由なユーザーは、画面のコンテンツを読み、タッチで応答することができます。
- 発話が不自由なユーザーは、音声のコンテンツを聴き、タッチで応答することができます。
- 身体を動かすことが不自由で画面をタッチすることが困難なユーザーは、音声でスキルと対話できます。
カスタムスキルのアクセシビリティデザインに関する考慮事項や障がいの種類の詳細については、あらゆるユーザーがスキルを利用できるようにするを参照してください。
APLのアクセシビリティサポート
以下のセクションでは、APL視覚要素を備えたスキルでどのようにアクセシビリティをサポートするかについて説明します。
カスタム音声対話モデル
カスタムスキルはすべて、カスタム音声対話モデルを定義します。このモデルでは、ユーザーがスキルにリクエストをする際に言う言葉を定義します。スキルのすべての機能を音声インテントを通じて公開することで、障がいを持つユーザーにとっても、画面のないデバイスでスキルを使用するユーザーにとってもアクセスしやすいスキルを作成できます。
スキルの対話モデルを作成する方法の詳細は、以下を参照してください。
APL視覚要素のスクリーンリーダー対応
APLは、画面上の項目を説明するスクリーンリーダーをサポートしています。スクリーンリーダーにより、目の不自由なユーザーのアクセシビリティが向上します。ユーザーは、画面の視覚要素と直接対話できます。開発者は、APL視覚要素を作成するときに画面上のコンポーネントについての情報を提供します。スクリーンリーダーはこの情報を使用して、ユーザーにこれらの説明をレンダリングします。
Echo Showデバイスには、VoiceViewスクリーンリーダーが搭載されています。
アクセシビリティを確保するには、スクリーンリーダーで問題なく機能するスキルを作成することが重要です。スクリーンリーダーをサポートするAPLドキュメントの作成方法の詳細については、以下を参照してください。
音声による視覚要素内のインタラクティブオブジェクトの制御
APLは、ボタンやリンクなど、音声対応のインタラクティブ要素をサポートします。音声対応のインタラクティブ要素を用いることで、画面をタッチして選択することが難しいユーザーのアクセシビリティが向上します。ユーザーは、発話によって画面を操作できます。たとえば、ユーザーは、画面上のボタンを「タップ」したいときに「スタートボタンを選択して」と言うことができます。
視覚要素を音声に対応させるには、視覚要素内のインタラクティブオブジェクトに対応するカスタムインテントと発話を作成します。これらのリクエストを処理するインテントハンドラーを作成します。カスタムインテントとリクエストハンドラーの作成について詳しくは、以下を参照してください。
リストの音声制御
視覚要素として項目のリストを表示する場合、Alexaはすべての項目を読み上げることができます。リスト項目を読み上げると、目の不自由なユーザーや、デバイスから遠すぎて項目を読めないユーザーにとってのアクセシビリティが向上します。
また、リスト項目自体をインタラクティブオブジェクトにすると、ユーザーは「3つ目を選んで」などの発話によって音声で項目を選択できるようになります。音声で項目を選択できるようにすれば、画面をタッチして項目を選択することが難しいユーザーにとってのアクセシビリティが向上します。
リストの項目を読み上げるには、APLのSpeakList
コマンドとトランスフォーマーを使用します。SpeakList
コマンドは、テキスト、SSML、APL for Audioで提供されるオーディオを読み上げることができます。SpeakList
によるリスト項目の読み上げの詳細と例については、以下を参照してください。
- SpeakListコマンド
- AlexaImageListにSpeakListコマンドを使用する
- APL for Audioの例: リスト内の項目ごとにオーディオを再生する
ユーザーが音声でリスト項目を選択できるようにするには、AMAZON.SelectIntent
ビルトインインテントを使用します。スキルに送信されるIntentRequest
には、ユーザーがリクエストした項目についての情報が含まれます。リスト項目の選択の詳細と例については、以下を参照してください。
- SelectIntentで項目を選択可能にする
- 項目選択のためのAPLサポート
- APL for Audioの例: ユーザーの操作への応答としてオーディオを再生する
音声によるコンテンツのスクロール
APL視覚要素としてテキストやリスト項目などのスクロールするコンテンツを表示する場合、ビルトインスクロールインテントを使用すると、ユーザーは「上にスクロールして」などの発話によってコンテンツをスクロールできるようになります。 音声でコンテンツをスクロールできるようにすれば、画面のスワイプが難しいユーザーや、デバイスから遠すぎてリストの操作ができないユーザーにとってのアクセシビリティが向上します。
音声によるスクロールを有効にするには、Sequence
やScrollView
などのスクロールコンポーネントにid
を含めます。その後、対話モデルにビルトインインテントを追加します。
AMAZON.ScrollDownIntent
AMAZON.ScrollUpIntent
AMAZON.PageUpIntent
AMAZON.PageDownIntent
AMAZON.MoreIntent
これらのインテントの処理はAlexaが行うため、独自にインテントハンドラーを作成する必要はありません。
スクロールインテントの詳細については、以下を参照してください。
音声とテキストの同期
スキルで長めのテキストを表示し、それをAlexaが読み上げる場合、読み上げテキストと画面上のテキストを同期させることができます。読み上げながら画面の単語を強調表示すると、耳の不自由なユーザーや、読み上げテキストを聴きながら画面上のテキストを追いたいと考えるユーザーにとってのアクセシビリティが向上します。デバイスは、Alexaの読み上げに合わせて、「karaoke」効果を使用してテキストを強調表示します。
音声の同期の詳細については、読み上げと画面のテキストを同期するを参照してください。
ビデオコンテンツのクローズドキャプション
スキルでVideo
コンポーネントを使用してビデオコンテンツを再生する場合、テキストトラックファイルにキャプションを含めることができます。デバイスでビデオのクローズドキャプションが有効になっていると、ビデオプレーヤーはビデオの再生中にこれらのキャプションを表示します。
これらのキャプションは、ビデオを識別するsource
オブジェクトのtextTrack
プロパティに指定します。詳細については、VideoコンポーネントのtextTrackプロパティを参照してください。Echo Showデバイスでクローズドキャプションを有効にする方法の詳細については、スクリーン付きEchoデバイスで字幕をオンにするを参照してください。
スキルのアクセシビリティテスト
スキルの作成時には、アクセシビリティのテストを行ってください。
- VoiceViewスクリーンリーダーを使用して、表示するすべての視覚要素をテストします。
- デバイスを使用して、VoiceViewでスキルをテストします。スクリーンリーダーはシミュレーターでは使用できません。
- 画面に表示されているすべての項目がスクリーンリーダーによって説明されることを確認します。
- ボタンやリンクなど、すべてのインタラクティブコンポーネントをテストします。スクリーンリーダーによってこれらの項目が説明されること、スクリーンリーダーが有効になっているときにこれらの項目をアクティブ化できることを確認します。
- ボタンやリンクなどのすべてのインタラクティブ要素を、音声リクエストで選択できることを確認します。
- タッチと音声の両方で、すべてのコンテンツをスクロールできることを確認します。
スキルのテストの詳細については、スキルのテストとデバッグを参照してください。
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最終更新日: 2025 年 09 月 30 日