Amazonアプリストアでは、Amazonデバイスでのアプリの公開をシンプルで簡単にしたいと考えています。今年4月に、開発者向けの無料のバーチャルイベントとして、第1回Amazon Appstore devDayを開催しました。イベントでは、さまざまな最新の開発ツール、主要な製品の最新情報、収益化のビジネスチャンスについて取り上げました。ここでは、各セッションを簡単に要約し、その内容を説明します。
devDay基調講演では、既存のAmazonアプリストア開発者やアプリストア向けの開発を検討しているユーザーを対象に最新の情報を共有しました。AmazonのContent Apps & Partner Engagement部門のディレクターであるJon Kirkは、Amazonアプリストアが全世界で2億台を超えるデバイスをサポートしており、Fire TV、Fireタブレット、車載エンターテインメントシステム、Echo Showなど、Amazonデバイスを支えるデジタルストアであることを詳細に説明しました。
さらに、Windows 11向けAmazonアプリストアによって、新しいユーザー層にリーチを拡大できることも取り上げました。
重要: Windows 11向けAmazonアプリストアは、2025年3月5日をもってサービスを終了します。詳しくは、ブログをご参照ください。
MicrosoftがAndroid™️用Windowsサブシステムを開発したことにより、Windows 11でもAmazonアプリストアを利用できるようになりました。これは、既存のアプリが数億台のWindows PCゲーマーにリーチできるようになったことを意味します。
Windows 11でのビジネスチャンスによって、デバイスの垣根を越えて大規模にアプリのリーチを拡大することができます。また、シニアプロダクトマネージャーのAabid Siddiqueは、短いデモで、Windows向けAmazonアプリストアの概要と今後提供予定のInput SDKがアプリでサポートされているコントローラーのユーザーガイドをどのように簡素化するかを説明しました。
Jonは、Windows 11以外に、ユーザーとアプリ開発者の両者が満足できるFire TVの機能についても取り上げました。Fire TVのおすすめ機能がアプリを見つけやすくすることについて、重点的に説明しました。
Fire TVのおすすめ機能のおかげで新しいコンテンツがこれまでよりもユーザーの目に留まるようになります。Fire TVのホーム画面でおすすめを表示することによりコンテンツが目に留まるようになり、また、Fire TVホーム画面のおすすめカードからアプリに直接アクセスできます。Fire TV用のおすすめ機能APIを実装する方法やアプリに必要なパラメーターは、ドキュメントでご確認ください。
アプリのリリースにはバックエンドインフラストラクチャへの大規模な投資や開発作業が必要になるため、基調講演ではAmazonアプリストアの小規模ビジネス向けアクセラレータープログラムについても詳しく説明しました。
プログラムでは、有利な収益分配率とAWS販促クレジットを年間収益100万米ドル未満の開発者に提供しています。対象となる開発者には、高い収益分配率が自動的に適用され、AWS販促クレジットは開発者コンソールでAWSアカウントIDを入力するだけで獲得できます。基調講演のセクションを視聴し、開発者ポータルでプログラムの詳細を確認すれば、今すぐ登録できます。
devDayの2番目のセクションでは、シニアデベロッパーエバンジェリストのGiovanni Laquidaraと、シニアソリューションアーキテクトのPriya Rajanが、AmazonアプリストアとFireデバイス向けのアプリを開発する際のベストプラクティスを紹介しました。
Gioは、まずAmazonアプリストアの開発ライフサイクルと、Fire OSを支えるテクノロジーについて説明しました。
ガイドワークフローでアプリの移植がより簡単に
講演では、アプリの移植時に使用されるフレームワークとオープンソースライブラリを確認することの重要性を示しました。 ガイドワークフローを使用することで、AndroidアプリをFire OSに対応させるプロセスを効率化できます。アプリの機能に関する質問に回答するだけで、すぐにワークフローを実行でき、カスタマイズされたガイダンスが提供されるため、移植を手間なく簡単に行うことができます。
最初に、一般的な移植の要件に関して利用可能な4つのガイドワークフローのいずれかを選択します。
A3Lによる依存の抽象化
また統一されたSDKを介してA3Lがどのようにさまざまなアプリストアやサービスで同じ機能をサポートするか解説しました。これには、Google Playサービス用のFirebase Cloud MessagingおよびFire OS用のAmazon Device Messagingを介したAndroidアプリのリリースも含まれています。
A3L Messaging SDKは、Firebase Cloud MessagingやAmazon Device Messagingへの依存を抽象化します。これにより、AndroidデバイスとAmazonデバイスの両方で統一され効率化されたユーザーエクスペリエンスを実現できます。詳細は、A3L Messaging SDKに関するコードのデモを参照してください。
ライブアプリテストで不測の事態を回避
ライブアプリテスト(LAT)を利用すれば、公開前にフィードバックの収集、品質の向上、アプリの安定性の向上が実現でき、申請エクスペリエンスを最適化できます。Priyaのデモでは、公開前アプリのテストにおけるLATの機能について、重点的に説明しました。
LATは、アプリ内課金、Facebookとの接続、Amazon Device Messaging、Amazon Mapsなどの統合を確認する際に重要な役割を果たします。さらに重要なことは、LATによってアプリを一部のテスターに公開できることです。テスト版のデプロイ先を管理することで、特定のテスターグループのユーザーだけがアプリをインストールできるようになります。ライブアプリフローと本番アプリフローの両方のバージョンをテストできます。開発者向けの主なメリットは、本番バージョンのアプリにエンドユーザーのエクスペリエンスが反映できることです。
申請前チェックリストを使用したアプリのリリースの準備
Priyaは、Amazonアプリストアでアプリを新規申請したり、既存のアプリをアップデートする際に、Amazonアプリストアの申請前チェックリストを利用するプロセスやアプリの申請手順を説明しました。 チェックリストを見れば、コンテンツ、機能、知的財産権(IP)、テスト手順、サポート対象デバイスなど、アプリのレビュー担当者が確認する重要ポイントがわかります。 Amazonの開発者は、アプリのアップデートプロセスに申請前チェックリストを取り入れて、スムーズなワークフローを実現しています。
セッションでは、デベロッパーエバンジェリストのAnisha Maldeと、プリンシパルプロダクトマネージャーのNick Kalkounisが、Amazonアプリストアを利用した収益化の新しいビジネスチャンスを重点的に説明しました。
Nickはセッションの冒頭で、導入価格とプロモーション価格を導入してユーザーにインセンティブを提供する方法を紹介しました。
Nickは、Amazon開発者コンソールにあるアプリの [定期購入型アイテムの期間] で、導入価格とプロモーション価格を実装する方法を紹介しました。
購入フローの技術について理解を深めるため、AnishaがAppstore SDKの使用方法を示すコードのデモを実施しました。
本セッションでは、収益化のための最新機能も紹介しました。 購入の保留によるペアレンタルコントロールの向上。
購入の保留により、開発者はユーザーのアプリ内課金のエクスペリエンス向上を実現できます。これはAmazonアプリストアのアプリ内課金APIの拡張機能です。子どもがAmazon Kidsでアプリ内課金を利用した際に、保護者に購入の承認をリクエストできるようにします。たとえば、子どもがデジタル商品の購入をリクエストし、保護者がリモートで購入を承認できるようになりました。保護者がリクエストを確認している間も、子どもはアプリやゲームを使用できます。
Appstore請求サービス対応SDKは最新の収益化機能の1つで、追加のコードを作成することなく、アプリ内課金を実装した既存のGoogle PlayアプリをAmazonアプリストアで公開できます。 現在Google Play Billing Libraryを使用しているAndroidアプリの場合、Appstore請求サービス対応SDKを使用するとAPI呼び出しを変更しなくても公開できることを、Anishaが説明しました。
この新しいSDKは消費型アイテムと非消費型アイテムのアプリ内課金をサポートしています。定期購入型アイテムに関する機能は年内の公開に向けて開発中です。SDKの詳細は、ドキュメントを参照してください。
最後に、Anishaが、アクティブな課金ユーザーが定期購入の解約を検討している場合、リテンションオファーがユーザーのリテンションに役立つことを紹介しました。
リテンションオファーの構成では、開発作業は不要です。すべて開発者コンソールのプロモーション設定で構成できます。本機能はプレビューでの評価が好評で、年内には公開される予定です。
オンデマンドでdevDay 2023のセッションを視聴できます。今後もAmazonアプリストア向けのアプリの開発をサポートしてまいります。