手順4: Amazon Device Messaging(ADM)を統合する
Amazon Device Messaging(ADM)は、アプリがLambda関数とやり取りできるようにするプッシュ通知技術です。Lambda関数は、ADMを使用してアプリに命令を送信します。
ビデオスキルでADMを使用する場合、最も一般的なADMのユースケースとは使用方法が異なることに注意してください。ビデオスキルでは、ADMはLambdaからアプリにメッセージを(一方向で)送信するためだけに使用されます。このため、このトピックではADMのドキュメントの関連セクションのみを記載しています。Fire TVのビデオスキルには関連しない用途や詳細を確認するには、ADMのドキュメントを直接参照してください。
Fire TV対応サンプルアプリを使用している場合、ADMは既にコードに統合されており、ADM JARが追加されています(Android Studioの [プロジェクト] ビューに切り替えてapp > libsに移動すると、amazon-device-messaging-1.1.0.jarを確認できます)。そのため、次の 手順5: アプリに署名してセキュリティプロファイルを構成するに進むことができます。ただし、ADM統合のコードについて理解を深めたい場合は、
AndroidManifest.xml、MainActivity.java、VSKFireTVMessageHandler.javaの各ファイルを参照してください。アプリのマニフェストの更新
ADM経由で送信されたメッセージを受信するには、まずAndroidManifest.xmlファイルの更新が必要です。既存のファイルを次のように変更します。
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    AndroidManifest.xmlファイルを開き、以下に記載されたAmazonの名前空間を追加します。xmlns:amazon="http://schemas.amazon.com/apk/res/android"
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    ADMのサポートに必要なパーミッションを宣言するには、 permission要素とuses-permission要素をmanifest要素の後に追加します。<manifest xmlns:android="http://schemas.android.com/apk/res/android" xmlns:amazon="http://schemas.amazon.com/apk/res/android" package="[パッケージ名]" android:versionCode="1" android:versionName="1.0"> <!-- このパーミッションにより、ADMメッセージが ほかのアプリにインターセプトされなくなります。 --> <permission android:name="[パッケージ名].permission.RECEIVE_ADM_MESSAGE" android:protectionLevel="signature" /> <uses-permission android:name="[パッケージ名].permission.RECEIVE_ADM_MESSAGE" /> <!-- このパーミッションにより、ADMからのプッシュ通知をアプリが受信できるように なります。 --> <uses-permission android:name="com.amazon.device.messaging.permission.RECEIVE" /> <uses-permission android:name="amazon.speech.permission.SEND_DATA_TO_ALEXA" /> <!-- メッセージ受信時にプロセッサがスリープ状態になるのを防ぐため、ADMはWAKE_LOCKを使用します。 --> <uses-permission android:name="android.permission.WAKE_LOCK" /> ... </manifest>
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    明示的にADMを有効化し、アプリにADMが必要( android:required="true")か、ADMがなくても動作する(android:required="false")かを宣言します。ここでandroid:required="false"を指定した場合、ADMが利用できないときにアプリの機能が適切に制限されるようにする必要があります。マニフェストのapplicationノードで、amazon:enable-feature要素を追加します。... <application android:icon="@drawable/ic_launcher" android:label="@string/app_name" android:theme="@style/AppTheme"> <!-- 明示的にADMを有効化し、アプリにADMが必要 (android:required="true")か、ADMがなくても動作する(android:required="false")かを宣言します。 ここでandroid:required="false"を指定した場合、ADMが利用できないときにアプリの機能が 適切に制限されるようにする必要があります。 --> <amazon:enable-feature android:name="com.amazon.device.messaging" android:required="true"/> ...
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    ADMから送信される REGISTRATIONインテントとRECEIVEインテントを処理するために、ブロードキャストレシーバーを宣言します。レシーバーは、プログラムではなくAndroidManifest.xmlファイルで定義する必要があります。amazon:enable-featureの直後に、以下の要素を追加します。<!-- serviceタグとreceiverタグ内のname値は、パッケージで使用する 適切な名前に置き換えてください。 --> <service android:name="[サービス名]" android:exported="false" /> <receiver android:name="[レシーバー名]" <!-- このパーミッションにより、ADMのみがアプリ登録ブロードキャストを送信できます。 --> android:permission="com.amazon.device.messaging.permission.SEND" > <!-- アプリがADMとやり取りするには、以下のインテントをリッスンする必要があります。 --> <intent-filter> <action android:name="com.amazon.device.messaging.intent.REGISTRATION" /> <action android:name="com.amazon.device.messaging.intent.RECEIVE" /> <!-- categoryタグ内のname値をアプリのパッケージ名に置き換えます。 --> <category android:name="[パッケージ名]" /> </intent-filter> </receiver>
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    AndroidManifest.xmlファイルの更新後、 ADMManifest.checkManifestAuthoredProperly()を呼び出して、変更が適切かどうかを確認します。java.lang.NoClassDefFoundError: com.amazon.device.messaging.ADMエラーが発生した場合は、マニフェストを調べて、手順3で指定された場所にamazon:enable-feature要素が追加されていることを確認します。
以下のコードは、ADMに対応したAndroidManifest.xmlファイルの一例です。
<manifest xmlns:android="http://schemas.android.com/apk/res/android"
   xmlns:amazon="http://schemas.amazon.com/apk/res/android"
   package="[パッケージ名]"
   android:versionCode="1"
   android:versionName="1.0" >
   <uses-sdk
      android:minSdkVersion="15"
      android:targetSdkVersion="15" />
   <permission
      android:name="[パッケージ名].permission.RECEIVE_ADM_MESSAGE"
      android:protectionLevel="signature" />
   <uses-permission android:name="[パッケージ名].permission.RECEIVE_ADM_MESSAGE" />
   <uses-permission android:name="com.amazon.device.messaging.permission.RECEIVE" />
   <uses-permission android:name="amazon.speech.permission.SEND_DATA_TO_ALEXA" />
   <uses-permission android:name="android.permission.WAKE_LOCK" />
   <application
      android:icon="@drawable/ic_launcher"
      android:label="@string/app_name"
      android:theme="@style/AppTheme" >
      <amazon:enable-feature
         android:name="com.amazon.device.messaging"
         android:required="true"/>
      <service
         android:name="[サービス名]"
         android:exported="false" />
      <receiver
         android:name="[レシーバー名]"
         android:permission="com.amazon.device.messaging.permission.SEND" >
         <intent-filter>
         <action android:name="com.amazon.device.messaging.intent.REGISTRATION" />
         <action android:name="com.amazon.device.messaging.intent.RECEIVE" />
         <category android:name="[パッケージ名]" />
         </intent-filter>
      </receiver>
   </application>
</manifest>
登録とメッセージの処理の実装
マニフェストで宣言されたブロードキャストレシーバーは、インテントをリッスンし、インテント受信時にアプリを起動します。アプリは、com.amazon.device.messaging.ADMMessageHandlerBaseクラスで定義された以下のコールバックメソッドを介して、ブロードキャストレシーバーとやり取りします。
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    onRegistered:アプリインスタンスの登録IDが利用可能になると呼び出されます。アプリ側は、この登録IDを開発者サーバーに送信する必要があり、そうすることで、開発者サーバーがアプリインスタンスにメッセージを送信できるようになります。
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    onUnregistered:アプリインスタンスがADMから登録解除された場合に呼び出されます。
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    onRegistrationError:アプリのADM登録リクエストが何らかの理由(デバイスにサインインしているAmazonユーザーがいないなど)で失敗した場合に呼び出されます。
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    onMessage:ADMクライアントがアプリインスタンスにメッセージを配信する際に呼び出されます。
com.amazon.device.messaging.ADMMessageHandlerBaseとcom.amazon.device.messaging.ADMMessageReceiverのサブクラスを実装する場合は、アプリ側でこれらのコールバックをオーバーライドする必要があります。以下のコードサンプルを参照してください。
public class MyADMMessageHandler extends ADMMessageHandlerBase
{
    public static class Receiver extends ADMMessageReceiver
    {
        public Receiver()
        {
            super(MyADMMessageHandler.class);
        }
    // ここではほかに何も必要ありません。ブロードキャストレシーバーは、
    // インテントを処理用に自動的にサービスに転送します。
    }
    @Override
    protected void onRegistered(final String newRegistrationId)
    {
        // メインアクティビティでstartRegister()を呼び出して登録プロセスを
        // 開始します。登録IDが利用可能になると、ADMはアプリのonRegistered()を
        // 呼び出します。開発者サーバーが現在のアプリインスタンスにメッセージを送信できるように、
        // 渡された登録IDを開発者サーバーに送信します。onRegistered()は、何らかの理由で
        // 登録IDのローテーションまたは変更が行われた場合にも呼び出されます。
        // その場合、アプリ側は新しい登録IDを開発者サーバーに渡す必要があります。
        // 開発者サーバーは、最大で1,536文字までの登録IDを処理できる
        // 必要があります。
  	// 取得したADM登録IDをAlexa Client Libraryに提供します。
        AlexaClientManager.getSharedInstance().setDownChannelReady(true, newRegistrationId);
    }
    @Override
    protected void onUnregistered(final String registrationId)
    {
        // このデバイスでアプリが登録解除されている場合は、現在のアプリインスタンスが
        // メッセージの有効なターゲットではなくなっていることを、開発者サーバーに通知します。
    }
    @Override
    protected void onRegistrationError(final String errorId)
    {
        // 登録エラーは致命的と考えてください。その対応としては、
        // アプリの機能を適切に制限するか、アプリの機能のうちこの部分が使用できないことを
        // ユーザーに通知することができます。
    }
    @Override
    protected void onMessage(final Intent intent)
    {
        // com.amazon.device.messaging.intent.RECEIVEインテントに
        // アタッチされているエクストラからメッセージコンテンツを抽出します。
        // JSONデータのメッセージフィールドとタイムスタンプフィールドにアクセスするための文字列を作成します。
        final String msgKey = getString(R.string.json_data_msg_key);
        final String timeKey = getString(R.string.json_data_time_key);
        // onMessage()コールバックでトリガーされるインテントアクションを取得します。
        final String intentAction = getString(R.string.intent_msg_action);
        // インテントに含まれていたエクストラを取得します。
        final Bundle extras = intent.getExtras();
        // インテント内のエクストラからメッセージと時刻を抽出します。
        // メッセージの配信や順序は保証されません。
        // ネットワーク状況の変化により、メッセージが複数回配信される場合もあります。
        // アプリ側でメッセージの重複インスタンスを処理できるようにしておく必要があります。
        final String msg = extras.getString(msgKey);
        final String time = extras.getString(timeKey);
    }
}
ADMを使用できない場合の適切な機能制限
マニフェストファイルでは、ADMを使用できない場合にアプリが動作する(android:required="false")か、動作しない(android:required="true")かを宣言します。ここでandroid:required="false"を指定した場合、ADMが利用できないときにアプリの機能が適切に制限されるようにする必要があります。
ADMがなくても動作するアプリを設計すれば、単一のAPKを作成するだけで、ADMのありなしにかかわらずデバイスにインストールして実行することができます。
適切な機能制限が行われるようにアプリを修正するには
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    次のようなコードを使用して、ADMを利用できるかどうか確認します。 ADMAvailable = false ; try { Class.forName( "com.amazon.device.messaging.ADM" ); ADMAvailable = true ; } catch (ClassNotFoundException e) { // 例外を処理します。 }
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    ADMライブラリランタイムを必要とするコードに、次のコードを追加します。 if (ADMAvailable) { // ADMを必要とするコードをここに挿入します。 }
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    AndroidManifest.xmlファイルのapplication要素で、次のように指定されていることを確認します。 amazon:enable-feature android:name="com.amazon.device.messaging" android:required="false" /
ADMの代替手段
ADMを使用してLambda関数からアプリに命令を送信する代わりに、独自のプロトコルとクラウドサービスを使用してアプリにアクションを送信することもできます。このオプションを使用する場合、アプリへのコマンドの配信は開発者が担当します。通信のプロトコルと特性はすべて開発者が決定でき、Lambdaコードのほか、インフラストラクチャへのサービスの呼び出しによっても管理できます。
この方法では、このアプリインスタンス固有の識別子を、初期化時にAlexa Client Libraryに提供する必要があります。この識別子は、ディレクティブがLambdaコードに送信される際、このアプリインスタンスをターゲットにするために使用されます(アプリインスタンスの識別子がまだない場合や、Alexaに識別子を渡したくない場合は、ANDROID_IDを使用することもできます)。
この方法を選択した場合は、実装コードの大半を自分で構築する必要があります。これには、次の手順が含まれます。
- プロジェクトにAlexa Client Libraryを追加する
- 初期化時にアプリインスタンスIDをAlexa Client Libraryに渡す
- アプリインスタンスIDがクラウドで認識されていることを確認する
- 必要に応じてLambda関数とアプリの通信メカニズムを実装する
- Alexa Client Libraryのアプリ統合の要件を満たす
次のステップ
手順5: アプリに署名してセキュリティプロファイルを構成するに進みます。
問題が発生して続行できない場合は、クラウド側の統合に関するトラブルシューティングを参照してください。

