スキル内課金をデザインする

購入したコンテンツへのアクセス

何かを買ったのにどこかに置き忘れたり、買ったことを忘れてもう一度買ってしまったりしたことはありませんか? 物を失くすのはよくあることです。買ったものをすべて記録してどこに置いたかを教えてくれる確実な方法があったらいいのに、と思いませんか? ユーザーがスキル内のプレミアムコンテンツを買う場合、それは物理的に存在する「物」ではなくデジタルな商品です。スキルのコンテキストの中でだけ存在する抽象的なアイテムです。デジタルコンテンツは実際に手に取ったり触ったりできないため、すぐにどこにあるか忘れてしまいます。こうしたユーザーの悩みを解決するため、スキルでは、ユーザーが何を買って何を買わなかったかをトラッキングしておく必要があります。そして、ユーザーに「何が買える?」、「何を買ったっけ?」などとたずねられたら、その情報を出せるようにしておきます。

何が買える?

プレミアムコンテンツを提供するスキルが増えるにつれ、ユーザーはほとんどのスキルで何らかのプレミアムコンテンツが提供され、エクスペリエンスを充実させられると期待するようになりました。スキルがどのようなプレミアムコンテンツを提供しているか、ユーザーは知りたいと思うでしょう。そこで、次のような質問に応答できるようにします。

  • 何が買えるの?
  • サブスクリプションしたら何が手に入るの?
  • 何か新しいコンテンツはある?

Seattle Super Triviaの場合、プレミアムコンテンツの概要をざっと説明する応答を用意しました。選択肢を増やしすぎてユーザーをうんざりさせたくありませんからね。ユーザーはプレミアムコンテンツについてたずねているため、ここはアップセルをする絶好の機会です。まずは下のスクリプトを読んでみてください。その後、なぜ後でアップセルメッセージを追加するようコメントを入れたかを説明します。

ユーザー: 「何が買えるの?」
Alexa: 「いつでも使えるようにヒントを貯めておくこともできますし、50問以上のクイズが入っているメガパックのどれかをプレイすることもできます。真のシアトル通向けのSeattle Super Triviaサブスクリプションでは、毎日のクイズの数が倍になるほか、追加のヒントも獲得でき、トリビアパックも割引価格で購入できます。[アップセルメッセージをここに挿入]」

— Seattle Super Trivia

Seattle Super Triviaでは、サブスクリプション、複数のテーマ別メガトリビアパック、ヒントパックを提供しています。アップセルの可能性のある商品は複数ありますが、選択肢を多くしすぎてユーザーをうんざりさせたくはありません。このため、アップセルは一度に1商品のみにします。

また、ユーザーがまだ購入していないコンテンツのみをアップセルするようにしました。プレミアムコンテンツをそのままアップセルメッセージに追加しなかったのはこのためです。サブスクリプション済みのユーザーとまだしていないユーザーでは、ハイファイブをアップセルするメッセージを変える必要があります。また、アップセルメッセージをカスタマイズするには、ユーザーが何を購入済みかを判断するプログラミングロジックを組み込む必要があります。

では、サブスクリプションしていないユーザーとサブスクリプション済みのユーザーへのアップセルメッセージを見ていきましょう。

サブスクリプションしていないユーザー:

「サブスクリプションの方法を知りたいですか?」

サブスクリプション済みのユーザー:

「どれについて詳しく知りたいですか?」

また、サブスクリプション済みのユーザーは既にハイファイブのコンテンツを持っているため、ハイファイブへのサブスクリプションを紹介する内容は削除する必要があります。

何を買ったっけ?

ユーザーが何らかのコンテンツを購入したら、購入済みのコンテンツについてたずねられる可能性を想定しておいてください。たずねられたら、簡単な一覧で応答します。ユーザーは、既にたくさんのコンテンツを購入しているかもしれないので、情報を多く出しすぎてユーザーをうんざりさせないようにしてください。購入したコンテンツが比較的多い場合は、Alexaアプリにカードを送信します。画面付きのAlexa搭載デバイスを使っているユーザーには、Alexa Presentation Language (APL)を使用して購入済みコンテンツのスクロール可能なリストを表示することもできます。

スキルで提供しているすべてのコンテンツを購入したユーザーが、次のような質問やリクエストをしてきたとします。

  • 何が買えるの?
  • パックの1つで遊びたい
  • サブスクリプションしたら何が手に入るの?

この場合、現時点で購入できるコンテンツをすべて購入済みであることを説明し、持っているコンテンツの概要を伝えます。

ユーザーが既に持っているコンテンツを確認したり、使ったりする方法は、なるべく多く用意するようにしてください。上の3つのサンプルは、すべてを網羅したリストではありません。スキル内で購入した商品を確認するための発話例を提供すればするほど、ユーザーにとって使いやすいスキルとなります。

では、メガトリビアパックを大量に購入したユーザーからの「何を買ったっけ?」という質問にSeattle Super Triviaがどう答えているかを見てみましょう。

ユーザー: 「何を買ったっけ?」
Alexa: 「[最後に購入したアイテム]など、さまざまなコンテンツをお買い上げいただきありがとうございます。 購入されたすべてのアイテムについての情報をAlexaアプリに送信しました。購入したパックのどれかをプレイしますか?」

— Seattle Super Trivia

ユーザーはメガトリビアパックを大量に購入しているため、直近で購入したパックのみを伝えています。そして、購入した全アイテムのリストをAlexaアプリに送信し、ユーザーをAlexaアプリに案内しています。スキルが画面付きのデバイスで呼び出された場合は、APLを使ってすべての購入済みアイテムのリストを表示することもできます。

では、ユーザーが現在サブスクリプションしている場合の応答を見てみましょう。

ユーザー: 「何を買ったっけ?」
Alexa: 「Seattle Super Triviaサブスクリプションでは、毎日のクイズの数が倍になるほか、追加のヒントも獲得でき、トリビアパックも割引価格で購入できます。」

— Seattle Super Trivia

この場合、サブスクリプションに含まれるコンテンツのリストを説明しています。サブスクリプションに含まれる内容が大量の場合は、情報量が多くなりすぎないように注意してください。

提供しているすべてのコンテンツを購入済みのユーザーが「何が買えるの?」とたずねた場合、現時点で購入できるコンテンツをすべて購入済みであることを説明し、持っているコンテンツの概要を伝えます。画面付きデバイスの場合は、APLを使って詳細を画面に表示することも忘れないでください。

無料お試しのあるスキルでの「何を買ったっけ?」

Seattle Super Triviaでは無料お試しを提供していませんが、あったと仮定してユーザーが新たにサブスクリプションを申し込んだ場合、残りの有効期間を含め、無料お試しについての何らかの情報を提供する必要があります。

コンテンツにアクセスできるようにする

購入したコンテンツへユーザーがアクセスできるようにしてください。アクセス方法とコンテンツの出し方は、課金方法(サブスクリプション型、買い切り型、消費型)やコンテンツの量によって変わります。どんなコンテンツにアクセスできるか、どのようにして購入済みコンテンツにアクセスするかなどをユーザーがたずねられるようにしてください。

多すぎるコンテンツ

レストランに行ってメニューを見たら、写真がなく文字ばかりが大量に書かれていたことはありませんか? 選択肢が多いことは一見よさそうですが、それが原因で考え込んでしまったり、決められなくなってしまってはいけません。そこまででなくても、選択肢が多いと決断が難しくなりがちです。購入することで大量のコンテンツが入手できる場合、すべてを言葉で説明しないでください。処理する情報量が多すぎてユーザーが混乱し、途中で聞くのを止めてしまう可能性が高いためです。代わりにコンテンツの簡単な説明とアクセスできるアイテムの数を伝えます。また、既にアクセスしたコンテンツと、まだアクセスしていないコンテンツについてもトラッキングする必要があります。最近使っていないコンテンツや、まったく使ったことのないコンテンツを出すことで、重複を防ぐことができます。

Seattle Super Triviaでは、ユーザーがメガトリビアパックを購入すると、まだ回答していないクイズをトラッキングして優先的に出題するようにしました。すべてのクイズを一通り出題し終えるまでは、同じ内容を重複して出題したくないからです。

サブスクリプション型

サブスクリプション型は、最もアクセスしてもらいやすいスキル内商品です。無料お試しによって無料コンテンツの要件を満たすスキルは特にそうです。スキルはユーザーがサブスクリプションに「登録」しているかどうかをチェックするだけでよいのです。

Seattle Super Triviaにサブスクリプション済みのユーザーがスキルを開くと、まずフリーファイブから出題します。その後、サブスクリプション済みユーザー限定のボーナスラウンドに進むことを伝え、最初のクイズを出題します。サブスクリプションのメリットを次のようにユーザーに伝えることをお勧めします。

Alexa: 「今日も冴えていますね! では、ここからが本日のボーナスラウンドです。6問目は...」

— Seattle Super Trivia

買い切り型

その名が示すとおり、買い切り型とは1回の購入で完全に入手できる商品のことです。購入すると、ユーザーは無期限でそのコンテンツにアクセスできます。つまり、購入後はいつでもそのコンテンツにアクセスできるようにする必要があります。

Seattle Super Triviaでは、複数のメガトリビアパックを買い切り型として提供しています。ユーザーが何らかの方法で、これらのクイズパックをプレイし、進捗状況を保存し、完了できるようにしなければなりません。また、複数のクイズパックを購入してくれた熱狂的なファンのことも考慮しましょう。 それぞれのクイズパックで進捗状況は異なります。いくつかの主要ポイントでユーザーが購入済みコンテンツにアクセスできるようにしてください。

 

  1. パックを購入した直後
  2. フリーファイブを完了した後
  3. ユーザーがリクエストしたとき

1. パックを購入した直後

ユーザーがパックを購入したら、すぐにプレイするオプションを提供してください。下の例は、購入によりアクセスできるようになったスキル内コンテンツの情報を伝えています。

Alexa: 「これでシアトルについてさらに詳しくなれますね。 新しく購入した「シアトルの歴史」スーパーパックをプレイしますか?」

— Seattle Super Trivia

2. フリーファイブを終了した後

フリーファイブを終えても、トリビアクイズを終わりにしなくてもよいとユーザーに伝えることもできます。無料クイズの終了後に、購入済みのコンテンツを提供できるからです。サブスクリプション済みのユーザーなら、ハイファイブのボーナスラウンドを終えるまで待ちます。

以下は、ユーザーの進捗状況と、プレイを続けるために利用できるコンテンツを伝えている例です。

Alexa: 「今日のクイズは満点でした。すばらしいですね。 「シアトルの有名スポーツ選手」パックに挑戦すれば、このままプレイを続けられます。まだ、50問中13問残っています。プレイしますか?」

— Seattle Super Trivia

進捗状況を伝えていたことにお気づきになりましたか? ユーザーはコンテンツを購入してプレイしていますが、まだ全部のクイズに挑戦していません。13問残っています。

3. ユーザーがリクエストしたとき

買い切り型のコンテンツにどう応答し、アクセスできるようにするかは、次の状況に応じて変わります。

 

  1. 特定のパックをリクエストした場合
  2. 特にパックを指定せず、
    • 1つしかパックを購入していない場合
    • 複数のパックを購入している場合

特定のパックをリクエストした場合

購入済みの特定のパックをリクエストした場合、ユーザーがどのコンテンツを希望しているかは明らかなので、そのパックの残りのクイズから出題します。先ほどの例と同様に、進捗状況に関する情報を伝えます。

ユーザー: 「トリビアパックをプレイしたい」
Alexa: 「「シアトルの有名スポーツ選手」パックは50問中、あと13問残っています。残りの問題に挑戦しましょう。第38問...」

— Seattle Super Trivia

特にパックを指定しなかった場合

特にパックを指定せず、ユーザーが持っているバックの中でどれがお勧めかを聞かれたら、ユーザーの持っているパックの数に基づいて提案を返してください。1つしか持っていない場合は単純に、次のように応答します。

ユーザー: 「トリビアパックをプレイしたい」
Alexa: 「「シアトルの有名スポーツ選手」パックがあります。50問中、あと5問残っています。用意はいいですか? 第46問...」

— Seattle Super Trivia

このケースは単純ですが、ユーザーがパックを複数持っている場合は少し複雑になります。1回に提案するパックの数を決める必要があるからです。

では、悪い例から見ていきましょう。ビデオを観ながら次の点について考えてみてください。

  • このアプローチのどこが問題なのか?

ランダムなコンテンツ提供は効果なし:

何だか退屈でしたね。 Justinの提案はスマートではありませんでした。選択肢が多すぎてうんざりさせてこそいませんが、1つずつランダムにリストアップするだけなので、Alisonは本当に飽き飽きしていました。

では、どうすればよくなるかを考えてみましょう。提案するコンテンツは3つ以内に絞りましょう。同時に、この提案にユーザーが満足しない場合は他のコンテンツをリクエストできるという選択肢も用意します。また、ユーザーに関する情報に基づいて次に提案するコンテンツを選びましょう。

Seattle Super Triviaの場合、前回プレイしたメガトリビアパックに基づいてコンテンツを提案しています。下のビデオを観て次の点について考えてみましょう。

  1. 前のアプローチと違う点はどこか?
  2. このアプローチではゲームの勢いをどのように維持しているか?
  3. Alisonが最初の提案を却下した後で、Justinが提案したコンテンツの数はいくつか?

コンテキストに基づいた提案は効果的:

情報に基づいて推測することでスムーズに進みます。ここでは、Alisonが最後にプレイしたメガトリビアパックに基づいて提案しました。その結果、Alisonはそのままの勢いでゲームを続けることができました。Alisonが前のパックを却下してから、Justinはほかに6つのパックが選べることを伝えた後、そのうち3つを提案しました。また、その際Alisonが先ほど却下したパックを再度提案しないように気を付けています。Justinはまた、この3つに興味がない場合はほかのパックをリクエストするという選択肢もAlisonに提示しています。

消費型

消費型は1回だけ使えるアイテムのことです。1回使うと、もうそのアイテムにアクセスすることはできません。たとえば、コーヒーショップでコーヒーを注文したとします。飲み干してしまったら、コーヒーが無料で湧いてくることはありません。お気に入りのコーヒーをおかわりしたければ、もう1杯購入しなければなりません。後からでも飲めるように自分用のタンブラーに淹れてくれるコーヒーショップもあります。ユーザーが消費型アイテムを貯めておいて後で使えるようにするには、アイテムがいくつ残っているかを確認する方法を用意する必要があります。

Seattle Super Triviaでは、ヒントを求められる回数を貯められるようにしました。つまり、ユーザーの次のリクエストに対応できるようにします。

  • プレイ中にヒントを使う
  • ヒントがいくつ残っているかを確認する

1日1つの無料ヒントを提供していることも忘れないでください。 1日1つの無料ヒントを使っているのか、それとも購入したヒントを使っているのかをユーザーにわかるようにしなければなりません。

無料のヒントと購入したヒントのどちらを使うかを確認しなかったり、無料のヒントがあるのに購入したヒントを使ったりすると、ユーザーは混乱し、不満を感じ、信頼も失ってしまいます。では、JustinとAlisonのやり取りから、こうした対応がどれだけユーザーを不満にさせるかを観てみましょう。

残念! Alisonはヒントがどれだけ残っているかを知りたかっただけなのに:

不満に感じるのも当然です。 Alisonはヒントがいくつ残っているかを知りたかっただけなのに、Justinは何も聞かずにヒントを1つ使ってしまったのです。Alisonはあっけにとられてゲームに集中できなくなりました。使いたくもなかったヒントを1つ使ってしまい、おまけに正解できなかったので2倍悲しんでいます。

さて、やるべきでないことはわかりましたね。では、ユーザーのヒントがいくつ残っているかの質問にSeattle Super Triviaはどう答えるかを観てみましょう。次の点を考えながら観てください。

  1. 前のビデオとの違いは?
  2. どの点がよくなっているか?

何を消費するかをはっきりと簡潔に伝えることが重要:

この場合、JustinはAlisonに対して明示的に今日の無料ヒントは使ってしまったこと、ヒントが2つ残っていることを伝えています。これにより、Alisonはヒントを1つ使ったら残り1つしかなくなることを明確に理解できました。最終的にAlisonのスコアが5点満点だったので、Justinは別のパックをアップセルすることもしています。

ユーザーが最適なタイミングで消費型アイテムを使えるようサポートする

ゲーム中、ユーザーがゲームに集中するあまり、ヒントの使用を忘れてしまうことがあります。Seattle Super Triviaでは、回答に時間がかかっているときに、購入したヒントを利用できることをユーザーに伝えています。Seattle Super Triviaでは、次の例のようにヒントが使えることをユーザーに伝えています。

次の点を考えながら読んでください。

  1. 無料のヒントを使うよう提案したのはいつか?
  2. 無料のヒントと消費型アイテムのヒントはそれぞれいくつ残るか?

Alexa: 「ワシントン州最初の大学であるワシントン大が開校した年は次のうちどれでしょうか? A、1920年、B、1861年、C、1790年」
ユーザー:「もう1回言って」
Alexa: 「ワシントン州最初の大学であるワシントン大が開校した年は次のうちどれでしょうか? A、1920年、B、1861年、C、1790年」
ユーザー:<答えない>
Alexa: 「今日の無料ヒントをまだ使ってないので、ヒントは全部で5つ残っています。無料のヒントを使いますか?」

— Seattle Super Trivia

すぐにヒントを使うよう提案しなかったことに気付きましたか?ユーザーが質問を繰り返すよう言った後、回答に時間がかかって初めてヒントを使うよう提案しました。答えに時間がかかるのは、ユーザーが困っていてヒントを使う可能性があるというサインです。同時に無料ヒントを使うので5つヒントが残ることもはっきりと伝えています。