音声識別とスキルのパーソナライズ(一般公開)

Mohit Mittal Oct 31, 2019
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Personalization
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※このブログはPersonalize Your Alexa Experience with Voice Profiles (Generally Available)の翻訳です。

Alexaスキルのパーソナライズ機能がAlexa Skills Kitで一般公開され、すべてのロケールでご利用いただけるようになりました。開発者は、カスタムスキルの音声プロフィールを活用し、スキルとの対話する声に応じた応答を返すことができます。ユーザーがAlexaアプリで音声プロフィールを作成すると、スキルはそのプロフィールを利用して、誰が話しているかを判別します。開発者は、スキルとユーザーとのかかわり方をパーソナライズし、ユーザーの好みに合わせたり、設定を覚えておいたり、世帯の誰が話しているかを識別したりすることができます。このカスタマイズされたユーザー体験を既に使っているスキルにはUber、Vodafone、7-Minute Workoutなどがあります。

 

発話者に応じて応答をカスタマイズする

スキルは、ユーザーとの自然な対話の中で誰が話しているのかが識別できるようになるため、個人の設定にアクセスするためにAlexaアカウントを切り替える必要がなくなります。スキルをパーソナライズすることで、フレンドリーにあいさつしたり、ユーザーの好みや興味、アカウント履歴に応じて応答を返したりと対応の幅が広がります。応答にユーザーの名前を挿入するには、SSMLとAlexaのalexa:nameタグを使います。コンテキストが含まれたプロンプトも追加しましょう。たとえば、「ジェフさん、お帰りなさい。空港行きの配車を予約しますか?」のようにします。 ユーザーがAlexaアプリでプロフィールの名前を変更すると、あいさつの中の名前も自動的に変わります。

 

適切なユーザーに適切な応答を返す

音声プロフィールで識別されているユーザーがスキルと対話すると、AlexaはpersonIdと呼ばれる文字列(文字と数字で構成される)を、指示されたリクエストとしてバックエンドロジックに送信します。そのユーザーがスキルと対話するたびに、リクエストの中で同じpersonIdが送信されます。personIdはユーザーごとに異なるため、これらのpersonIdを使うと、同じスキルを使ってそれぞれのユーザーに別の応答を生成できます。personId識別子には、個人を特定できる情報は含まれていません。

 

アカウントを適切な所有者にリンクする

これまでは、スキルの動作を変えるには、ユーザーがAlexaでの世帯プロフィールを設定して、Amazonアカウントを手動で切り替える必要がありました。パーソナライズによって、ユーザーがプロフィールを切り替えなくても、スキルが発話者を適切なアカウントにリンクするようになるため、操作が簡単になります。音声が識別されているユーザーがAlexa搭載デバイスでスキルと対話すると、Alexaはpersonオブジェクトの中に、その音声プロフィールにリンクされているアカウントのaccessTokenを含めます。このaccessTokenとそれに関連付けられている個別のユーザーのアカウントを使って、ユーザーのリクエストを実行できます。音声プロフィールにスキルとリンクされているアカウントがない場合、userオブジェクトからのaccessTokenを使用し、そのユーザーのAmazonアカウントにリンクされているデフォルトのアカウントを使ってリクエストを実行することができます。

音声プロフィールはユーザーが設定しない限り、有効になりません。また、音声プロフィールを既に設定しているユーザーは、Alexaアプリからいつでも、スキルのパーソナライズを使わないように設定できます。ユーザーがパーソナライズを使わないように設定した場合や、音声が識別されていない場合、AlexaはリクエストでpersonIdを送信しません。スキルは、リクエストのuserIdと紐づいているAmazonアカウントの設定にフォールバックします。これらが連携するしくみは以下のとおりです。

Copied to clipboard
{
"version": "1.0",
"session": {...},
"context": {
...
"System": {
...
"user": {
"userId": "amzn1.ask.account.[unique-value-here]",
"accessToken": "Atza|AAAAAAAA..." 
},
"person": { 
"personId": "amzn1.ask.person.[unique-value-here]",
"accessToken": "Atza|BBBBBBBB..." 
}
}
},
"request": {...}
}

スキルをパーソナライズすると、ユーザーとの対話がシンプルになるため、エンゲージメントを高め、精度を向上することができます。既にパーソナライズされているスキルの一部をご紹介します。

  • Uber社では、適切なユーザーに料金請求し、正しい場所に配車できるよう、パーソナライズを使っています。このことで、Alexaでのライドシェアが簡単になります。ユーザーごとにあいさつをパーソナライズし、ユーザーが区別できることで、精度を向上させ、簡単に配車依頼ができるようになっています。Uber社のHead of Technology and Data PartnershipsであるJuha Lehtela氏は、「Alexaが、使用するUberアカウントを発話者ごとに自動識別できるようになったため、よりスムーズなユーザーエクスペリエンスをスキルで実現できるようになりました」と述べています。
  • Vodafoneは電話アカウントをAlexaスキルで管理できるようにしています。パーソナライズにより、より正確なユーザー情報を提供できるようになりました。「スキルをパーソナライズしたため、Alexaはより正確になり、ユーザーにとってさらに便利になりました。まずはドイツで始めましたが、いずれはほかの地域にも拡大します」とVodafone Group社のGroup Director of Product and ServicesであるStefano Parisse氏は述べています。「スキルのエンゲージメントがスムーズになり、より質の高いエクスペリエンスを提供できるようになりました。私たちのモバイルユーザーが、手を使わずにシームレスなサービスを利用できるようになっています」
  • 7-minute Workoutスキルは、様々な短く効果的なワークアウトを提供しています。このスキルでは、あいさつとワークアウト後のメッセージをパーソナライズしています。「スキルにパーソナライズ機能を入れることはとても簡単でした」と、7-Minute Workout スキル開発者のJustin Kovac氏は話します。 「この機能で、ユーザーは世帯の他の人と一緒に使ったり(または競い合ったり)、または、個人のフィットネスの進み具合や設定をトラックしたりすることができます。この機能のついたスキルをさらに広げていきたいと思います」とJustin Kovac氏は述べています。
  • エキサイト星占いでは、ユーザーが自分の運勢を聞けるようにしています。「これまでは家族内のユーザーがそれぞれ自分の運勢を聞くことはできませんでした。スキルをパーソナライズしたことで自分の運勢を聞けるようになったため、スキルのエンゲージメントが高まると期待しています」と株式会社ミライエの代表取締役社長である小幡進氏は述べています。
  • じゃんけんは日本で人気のゲームスキルで、ユーザー別にパーソナライズされたあいさつをして、勝利回数が10回目であるとか、アクティビティの履歴など、プレイヤーの個人成績を記録します。

そのほかのパーソナライズ機能を使っているスキルには、Twenty Questions (パーソナライズされたゲーム)、SprachBox Abfrage (個別のボイスメッセージ)、Vanity Planet (ユーザーごとにカスタマイズされた健康製品)、Intervallfasten (ファスティングの間隔をトラック)、Party Craps - Multiplayer Edition (複数のプレイヤーで遊べるサイコロゲーム)、OneBusAway (バス運行情報) などがあります。

 

スキルのパーソナライズを始める

スキルのパーソナライズ機能は、現在、すべてのAlexaロケールで、カスタムスキル開発者が利用できるようになっています。パーソナライズの詳しい設定方法はドキュメントでご覧になれます。ユーザーごとにスキルのリクエストをカスタマイズできるのであれば、スキルのパーソナライズを検討してみてください。同じ1台のAlexa搭載デバイスを複数のユーザーが使用する場合に、優れたエクスペリエンスを提供できます。

皆様がAleaユーザー向けに開発するスキルのパーソナライズエクスペリエンスを楽しみにしています。

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