APLデータバインディングの構文



APLデータバインディングの構文

APLデータバインディングの式はJSON文字列内に記述され、"${expression}”の形式を取ります。文字列内では、"${2}+${2} = ${2+2}"のように、任意の数の式を記述できます。式は現在のデータバインディングコンテキスト内で評価されます。データバインディングコンテキストはブール値、数値、文字列、配列、オブジェクト、null値、および定義済みのリソースへの参照をサポートするグローバルディクショナリーです。

サポートされる値の型

識別子

識別子は、データバインディング変数を識別するために使用される名前です。識別子は、C識別子の命名規則である[a-zA-Z_][a-zA-Z0-9_]*に従う必要があります。つまり、識別子は大文字または小文字のASCII文字かアンダースコアで始まり、その後に0文字以上のASCII文字、数字、またはアンダースコアを続けます。

${data}
${_myWord23}
${__AnUgly26_letter__examplE}

文字列リテラル

文字列は一重または二重の引用符を使用して定義します。開始と終了の引用符はセットで使用する必要があります。引用符、キャリッジリターン、改行はエスケープ処理で表現できます。

	${"Double-quoted string"}
	${'Single-quoted string'}
	${"Inner quote: \" or '"}

式は文字列の中に入れ子にすることもできます。

	${"2たす2は${2+2}"}

数値

正の数、負の数、および浮動小数点数がサポートされます。指数表記には対応していません。JavaScriptでは、すべての数値は倍精度型です。

ブール値

truefalseのブール値がサポートされています。

	${true}
	${false}

null

null定数がサポートされています。

	${null}

リソース

定義済みのリソースをデータバインディングコンテキストで表すには予約文字「@」を使用します。次に例を示します:

${@myBlue}
${@isLandscape ? @myWideValue : @myNarrowValue}

データバインディングで使用されるリソースはAPLパッケージで定義します。

Truthyと強制

データバインディングの式には、さまざまな種類があります。これらの型は他の型に変換できます。次の表は、さまざまな変換の例を示しています(いずれの場合も、画面幅が512dpで320dpiとします)。

オブジェクト ブール値 数値 文字列 ディメンション
Null null false 0 "" transparent 0dp
ブール値 true true 1 "true" transparent 0dp
ブール値 false false 0 "false" transparent 0dp
数値 23 true 23 "23" #00000017 23dp
数値 0 false 0 "0" transparent 0dp
文字列 "私の犬" true 0 "私の犬" transparent 0dp
文字列 "" false 0 "" transparent 0dp
文字列 "-2.3" true -2.3 "-2.3" transparent -2.3dp
文字列 "red" true 0 "red" #ff0000ff 0dp
文字列 "50vw" true 50 "50vw" transparent 256dp
配列 [] true 0 "" transparent 0dp
マップ {} true 0 "" transparent 0dp
red true 0 "#ff0000ff" #ff0000ff 0dp
ディメンション 32px true 16 "16dp" transparent 16dp
ディメンション 0vh false 0 "0dp" transparent 0dp
ディメンション 23% true 0.23 "23%" transparent 23%
ディメンション 0% false 0 "0%" transparent 0%
ディメンション auto true 0 "auto" transparent auto
その他 ... true 0 "" transparent 0dp
             

ブール値の強制

truthy値とは、真偽を判定するコンテキストで評価したときにtrueと見なされる値です。false0""、ゼロの絶対ディメンションまたは相対ディメンション、nullを除いて、すべての値はtruthyです。

数値の強制

ブール値の「true」値は数値1に変換されます。文字列値はC++のstd::stodメソッドを使用して変換されます(ロケールの影響を受けます)。絶対ディメンションは絶対ディメンションのdpの数値に変換されます。相対ディメンションはパーセント値に変換されます(例:32% - > 0.32)。それ以外の場合はすべて0に変換されます。

文字列の強制

次の表の規則に従って、内部の型が文字列に変換されます。

オブジェクト 結果 説明
Null null '' null値は表示されません。
ブール値 true false 'true' 'false' ブール値のtrueとfalseは文字列として表示されます。
数値 -23 '-23' 整数では、小数点以下の桁は表示されません。
  1/3 '0.333333' 非整数では、小数点以下の桁が表示されます。
文字列 "My "dog" " 'My "dog" ' 文字列値
配列 [...] '' 配列は表示されません。
マップ {...} '' マップは表示されません。
red '#ff0000ff' 色は#rrggbbaa形式で表示されます。
ディメンション 23 dp '20dp' 絶対ディメンションは、サフィックス「dp」を付けて表示されます。
ディメンション 20 % '20%' パーセントディメンションは、サフィックス「%」を付けて表示されます。
ディメンション auto 'auto' 自動ディメンションは「auto」として表示されます。
その他 ${Math.min} '' 数学関数は表示されません。

非整数の具体的な形式は定義されていませんが、sprintf(buf, "%f", value)のC++規格に厳密に従ってください。ロケールに応じて変わる可能性があります。

色の強制

色値は、32ビットのRGBA値として内部的に格納されています。数値は32ビットの符号なし整数として扱われ、直接変換されます。文字列値は、色のデータ型の規則に従って解析されます。

絶対ディメンションの強制

数値は「dp」単位の測定値であると見なされ、絶対ディメンションに変換されます。文字列値は、ディメンションのデータ型の規則に従って解析されます。他のすべての値は0です。

相対ディメンションの強制

数値は割合と見なされ、直接変換されます。たとえば、0.5は50%に変換されます。文字列は、ディメンションのデータ型の規則に従って解析されます。他のすべての値は0です。

演算子

APLでは、算術、論理、比較、三項の演算子をサポートしています。

算術演算子

加算、減算、乗算、除算、剰余の標準的な算術演算子がサポートされています。

${1+2}  // 3
${1-2}  // -1
${1*2}  // 2
${1/2}  // 0.5
${1%2}  // 1.

加算と減算は、数値のペア、絶対ディメンション、相対ディメンションに対して機能します。数値が絶対ディメンションまたは相対ディメンションのいずれかと組み合わされると、その数値は適切なディメンションに強制変換されます。

加算演算子は、左オペランドか右オペランドが文字列の場合、文字列を連結する演算子としても使用できます。

${27+""}      // '27'
${1+" dog"}   // '1 dog'
${"have "+3}  // 'have 3'

乗算演算子、除算演算子、剰余演算子は、数値のペアに対して機能します。一方のオペランドがディメンション(相対または絶対)で、もう一方のオペランドが数値の場合も、乗算は機能します。結果はディメンションとなります。第1オペランドがディメンション(相対または絶対)で、第2オペランドが数値の場合も、除算は機能します。結果はディメンションとなります。

剰余演算子はJavaScriptの場合と同じように機能します。つまり、次のようになります。

${10 % 3}  // 1
${-1 % 2}  // -1
${3 % -6}  // 3
${6.5 % 2} // 0.5

論理演算子

標準的なAND、OR、NOTの論理演算子がサポートされています。

${true || false}   // true
${true && false}   // false
${!true}           // false

&&は、第1オペランドがfalseと見なされる場合は第1オペランドを返し、そうでない場合は第2オペランドを返します。||演算子は、第1オペランドがtrueと見なされる場合は第1オペランドを返し、そうでない場合は第2オペランドを返します。

${7 && 2}    // 2
${null && 3} // null
${7 || 2}    // 7
${0 || -16}  // -16

比較演算子

比較演算子はブール値を返します。

${1 < 2}
${75 <= 100}
${3 > -1}
${4 >= 4}
${myNullValue == null}
${(2>1) == true}
${1 != 2}

比較演算子は配列やオブジェクトには適用しません。

Null合体

??演算子はnull合体演算子です。オペランドがnullでない場合は左オペランドを返し、そうでない場合は右オペランドを返します。null合体演算子は、連鎖させることができます。

${person.name ?? person.surname ?? 'Hey, you!'}

null合体演算子は、null以外であれば、左オペランドを返します。

${1==2 ?? 'Dog'}   // falseが返される
${1==2 || 'Dog'}   // 「Dog」が返される

三項演算子

三項条件演算子${a ? b : c}は左オペランドを評価します。trueまたはtruthy値と評価した場合は、中央のオペランドを返します。そうでない場合は、右オペランドを返します。

${person.rank > 8 ? 'General' : 'Private'}

配列とオブジェクトへのアクセス

配列

配列へのアクセスには[]演算子を使用します。この場合、オペランドは整数でなければなりません。配列は、配列の長さを返す.length演算子もサポートしています。配列の範囲外の要素にアクセスすると、nullを返します。

${myArray[4]}     // 配列の5番目の要素(0から始まるインデックス)
${myArray.length} // 配列の長さ
${myArray[-1])}   // 配列の最後の要素
${myArray[myArray.length]}  // nullが返される(範囲外)

負のインデックスを渡すと、配列を後ろから数えます。

${a[-1] == a[a.length - 1]}  // True

オブジェクト

オブジェクトはドット演算子と[]配列アクセス演算子での文字列値の使用をサポートします。

${myObject.name}    // myObjectの「name」プロパティ
${myObject['name']} // myObjectの「name」プロパティ

プロパティを定義していない場合は、nullが返されます。

nullに対してドットまたは[]演算子を呼び出すとnullを返します。

${myNullObject.address.zipcode}  // nullが返される

ドット演算子の右オペランドは、有効な識別子でなければなりません。

関数の呼び出し

データバインディングではビルトイン関数の一部をサポートしています。関数の形式は次のとおりです:

functionName( arg1, arg2, … )

関数に引数を持たせるかどうかは任意です。関数は単一の値を返します。以下に、いくつかの関数表現を示します。

${Math.floor(1.1)}       // 1
${Math.ceil(1.2)}        // 2
${Math.round(1.2)}       // 1
${Math.min(1,2,3,4)}     // 1
${Math.max(1,2,3,4)}     // 4
${String.toUpperCase('Hello')}    // HELLO
${String.toLowerCase('Hello')}    // hello
${String.slice('Hello', 1, -1)}   // ell

ビルトイン関数

APLでは、算術関数と文字列関数の一部をビルトイン関数として提供しています。

プロパティ 説明
Math.abs(x) 絶対値xを返します。 ${Math.abs(-2.3)} == 2.3
Math.acos(x) xのアークコサインです。 ${Math.acos(1)} == 0
Math.asin(x) xのアークサインです。 ${Math.asin(0)} == 0
Math.atan(x) xのアークタンジェントです。 ${Math.atan(1)} == 0.7853981633974483
Math.ceil(x) x以上の最小の整数を返します。 ${Math.ceil(2.3)} == 3
Math.clamp(x,y,z) y<xの場合はx、y>zの場合はz、それ以外の場合はyを返します。 ${Math.clamp(1, 22.3, 10)} == 10
Math.cos(x) xのコサインです。 ${Math.cos(0)} == 1
Math.floor(x) x以下の最大の整数を返します。 ${Math.floor(2.3)} = 2
Math.max(x1,x2,…) 最大の引数を返します。 ${Math.max(2,3)} == 3
Math.min(x1,x2,…) 最小の引数を返します。 ${Math.min(2,3)} == 2
Math.PI PI(円周率)の値です。 3.141592653589793
Math.random() 0と1の間の乱数です。 ${Math.random()} == 0.7113654073137101(実際に返される乱数はこれとは異なります)
Math.round(x) xに最も近い整数を返します。 ${Math.round(2.3)} == 2
Math.sign(x) xのサインです。-1、0、1のいずれかになります。 ${Math.sign(-43.1) == -1}
Math.sin(x) xのサインです。 ${Math.sin(Math.PI/6)} == 0.5
Math.sqrt(x) xの平方根です。 ${Math.sqrt(9)} == 3
Math.tan(x) xのタンジェントです。 ${Math.tan(Math.PI/4)} == 0.5
String.slice(x,y[,z]) インデックスyからインデックスzまでのxのサブセットを返します。zが省略された場合、文字列の残りが返されます。yが負の数の場合、文字列の最後から抽出されます。 ${String.slice('berry', 2, 4)} == "rr" ${String.slice('berry', -2)} == "ry"
String.toLowerCase(x) 小文字に変換されたxが返されます。 ${String.toLowerCase('bEn')} == "ben"
String.toUpperCase(x) 大文字に変換されたxが返されます。 ${String.toUpperCase('bEn')} == "BEN"

データバインディングの文字列の変換

APLはJSONでシリアル化されているため、すべてのデータバインドの式はJSON文字列内で定義されます。

{
  "MY_EXPRESSION": "${....}"
}

引用符とデータバインディングの式の間にスペースがない場合、式の結果はデータバインディング評価の結果となります。次に例を示します:

"${true}"               -> ブール値のtrue
"${2+4}"                -> 数値6
"${0 <= 1 && 'three'}"  -> 文字列「three」

データバインディングの式の外側の文字列に余分なスペースがある場合、または2つのデータバインディングの式が並置されている場合、結果は文字列連結となります。

" ${true}"     -> 文字列「true」
"${2+4} "      -> 文字列「6」
"${2+1}${1+2}" -> 文字列「33」