会社名:TradFit株式会社
業種:クラウドAIを活用した音声データプラットフォームの構築及び運営
設立:2017年8月
所在地:〒100-0005 東京都千代田区丸の内一丁目6番5号 丸の内北口ビルディング9階
ホームページ:https://company.tradfit.com/
音声や生成AI、ロボティクス、IoTテクノロジーなどの活用により、観光や宿泊、ヘルスケア業界、自治体に向けて世界中の人々に、より良い暮らしを実現するサービスを提供し、社会課題の解決を目標に掲げているTradFit。同社の音声AIソリューションは、業務の効率化のみならず、社会課題の解決に貢献しています。そしてTradFitは、Amazon Alexaをベースにした宿泊施設をはじめ、医療・介護といったホスピタリティ産業、自治体向けの「Hospitalia(ホスピタリア)」と呼ばれるサービスを展開。音声とスマートディスプレイ上のテキスト、画像や映像などを通じて、顧客体験の向上や従業員の業務を支援しています。
代表取締役を務める戸田 良樹 氏は、「TradFitは創業期から知財戦略に注力して事業に取り組んでいます。当社の大きな強みが知財を活用した『三方よし』での事業展開です。観光・宿泊業界のみならず、ヘルスケア業界、自治体などの売上向上や、コスト削減に直結するようなビジネスモデル特許、基本特許を数多く保有しています。この知財戦略により差別化を徹底しています。そのうえで、顧客や提携先とともに日本が抱えている社会課題の解決や、各業界の顧客課題の解決、自社の成長にわたって、三方よしで進めています」と強調します。
Alexa開発者コミュニティのなかで特に積極的に活動し、貢献している開発者や技術者を称えるAlexa Championとして選出された実績を持つ取締役CTO 伊東 知治 氏は、「TradFitは会話体験を向上させるための技術開発にも継続的に取り組んできました。当社が保有しているこれまで取得できていなかったユニークなデータを取得し、業態ごとに異なる宿泊施設の会話ノウハウや特色を組みあわせ、多彩なパターンに合致した会話のデザインを設計できる点もTradFitの大きな強みです。また、生成AI技術を活用した音声認識の精度向上にも注力し続けています」と強調します。
宿泊業界では、近年さまざまな課題が浮上しているといいます。宿泊業界では、従業員に高い接客スキルが求められるとともに、24時間体制で宿泊客からの要望に応えなければなりません。さらにインバウンド需要の拡大に伴い、海外からの宿泊者を迎え入れるための多言語対応も求められています。こうしたなかで、業務の負荷が大きくなり、慢性的な人手不足も課題として浮上。人件費も上昇傾向にあり、収益率を向上させるための業務効率化は急務となっています。
「宿泊業界は人手不足やインバウンドの増加による多言語対応など、多くの課題が浮上しています。TradFitは、生成AIや音声AI、そしてAlexaをビジネス向けに展開していくにあたって、『社会や業界が抱えている課題解決に、最も資するサービスを提供できる業界はどこなのか』ということを考え、業界の現場に赴き、かつ国内外の旅行者に対しても生々しいインタビューを実施し、試行錯誤を重ねた結果、まずは、宿泊業界に注力することになりました。それ以降、Hospitaliaのブランドで、宿泊業界が抱える課題を解決するための音声×AIソリューションの提供を行ってきました」(戸田氏)
Alexa Smart Propertiesは、宿泊施設、高齢者施設や自治体向けにカスタマイズされたサービスで、2023年12月から日本で提供が開始されています。TradFitは、Alexa Smart Properties for HospitalityのソリューションプロバイダーとしてAmazonと契約し、ホーム画面や通知機能のカスタマイズのほか、固有のカスタムスキルを構築し、より宿泊施設のニーズに合致したサービスを提供しています。
堅牢なセキュリティにより、不特定多数が利用する環境においても安全に運用できる点は、Alexa Smart Propertiesの大きなメリットの1つといえます。伊東氏は、「Alexa Smart Propertiesでは、ユーザーの発話履歴や音声アクティビティが保護され、プライバシーとセキュリティが両立されており、安心して利用できる環境が整えられています」と語ります。
小田急ホテルセンチュリーサザンタワーでは、全375室にAlexa Smart Properties対応のEcho Showを導入。インバウンド需要に対する多言語対応を果たしながら、宿泊客からの貸出備品などのオーダーに対して音声による受付を実現。一日平均30件ほどあったAlexaへの問いかけのうち、電話に誘導されたのは10件のみでした(※1)。また、龍宮城スパホテル三日月では、479の全客室にAlexa Smart Propertiesを導入しています。館内施設やアクティビティの案内をAlexa Smart Properties対応のEcho Showで行うとともに、さらなる音声機能を強化することで、フロントへの入電率を48%から20%にまで低減させています(※2)。
今後、TradFitはAlexa Smart Propertiesを活用したサービスをさらに拡張していくとしています。
伊東氏は「今後は宿泊業界をはじめ、ヘルスケア業界、自治体などさまざまな企業・組織に向けて、Alexa Smart Propertiesを通じてTradFitがカスタマイズした付加価値の高いサービスを提供していきたいと考えています。この取り組みにより、日本のホスピタリティ業界の課題解決に貢献し、社会課題の解決に寄与していきます」と意欲を語ります。
今後のビジネス拡大とともに、TradFitは誰もが健やかに過ごせる「ウェルビーイング」な社会の実現を掲げています。「国内に軸足を置きながら、宿泊業界、ヘルスケア業界、さらには自治体と多方面にわたってビジネスを展開し、少子高齢化や過疎化、独居など、多くの課題の解決に取り組んでいきます。また、課題先進国と呼ばれる日本社会が抱える問題は、現在の状況や将来的な視点で考えると、グローバルでも同じ問題が起こるのではないかと感じています。日本発のサービスは世界でも通用すると考えており、将来的には国外にもサービスを展開し、心身ともに豊かな暮らしを提供していきます」と戸田氏は意気込みを語ります。
「世界中の人々に当社が提供するサービスを通じてより良い暮らしを提供する」ことをミッションに掲げ、音声AIソリューションを展開。近年では、Alexaの法人向けサービス「Alexa Smart Properties」をベースに、日本のホスピタリティ産業や自治体向けに独自技術を付加してローカライズしたサービス「Hospitalia(ホスピタリア)」を提供し、実績を重ねています。
*取材時期 2025年5月
*記載内容(役職、数値、固有名詞等)はすべて取材時の情報です。