高齢者の暮らしを支えるサービスをAmazon Alexa Smart Propertiesで提供 ―地域の福祉用具レンタル販売を手がける介護・医療関連事業者の業務を効率化し、利用者にも使いやすい介護サービスソリューション

Keith Tanaka Nov 21, 2025
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Smart Properties
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Alexa Smart Propertiesを活用したサービスの特徴
  • オンラインによるコミュニケーション支援を通じて、介護・医療関連事業者の業務効率化と担い手不足の課題を解決
  • セットアップ済みの専用端末の提供で、導入時の煩雑な設定作業が不要となり、タブレット端末などで見られるサポート負担を大幅に軽減
  • 高いカスタマイズ性により運用後の課題に対応、地域の状況やニーズに即した柔軟な機能追加や改善が可能

会社名:NTTビジネスソリューションズ株式会社

業種:情報・通信業

設立:2013年10月1日

所在地:〒105-0003 大阪府大阪市北区大深町3番1号

従業員数:約14,000名(2025年9月1日現在)

ホームページ:https://www.nttbizsol.jp/

地域の課題を解決するコミュニケーションプラットフォーム「こみぷら」

ICTのプロフェッショナルとして、企業や自治体のシステム構築やサポートを行うNTTビジネスソリューションズ。DX(デジタルトランスフォーメーション)による企業や地域の課題解決もミッションの1つで、なかでもコミュニケーションプラットフォーム「こみぷら」は、Amazon が提供するサービスのAlexa Smart Propertiesと連携することで、音声やタッチパネルによる簡単な操作で、ビデオ通話や回覧板の閲覧、緊急時のお知らせなどを提供できる、地域のコミュニケーション活性化するサービスとして注目を浴びています。

近年、自治体では少子高齢化に伴う人口減少、そして民生委員や介護支援を行う人材の不足が深刻な課題となっています。集落が点在しており、医師や薬剤師、ケアマネージャーが要介護者を訪問する際にも、移動に時間を要したり、訪問先の不在が重なったりすることで、業務の負担が大きくなっています。これらの負担を軽減し、見守られる方のニーズに応じたきめ細やかなケアを提供するには、業務の効率化、すなわちDXの推進が急務となっています。「こみぷら」は、地域の見守りや情報発信、コミュニティ形成のための機能を通じて、自治体や介護・医療関連事業者の課題解決を支援しています。また、これらを他業種向けにカスタマイズすることで、マンションやホテル事業者など、さまざまな業界の課題解決にも取り組んでいます。

少子高齢化による介護人材不足をICTで解消する

同社では、2023年12月から2024年3月にかけて、熊本市と連携し「こみぷら」を活用した実証実験を行っています。実験では次の4つのポイントについて有効性を検証し、地域課題に対して有効であることが確認されました。

  • 地域包括支援センター職員や民生委員が直接訪問できなくても、ビデオ通話による安否確認や声かけが可能であること
  • 介護が必要な高齢者に音声による会話やクイズなどを提供できること
  • 自治体や包括支援センターからの情報を、画像・音声・動画でわかりやすく伝えられること
  • 地域の路線バス運行情報(バス停への接近)を表示し、交通支援として活用できること

NTTビジネスソリューションズ株式会社 バリューデザイン部 ソーシャルイノベーション部門 社会基盤ビジネス担当 河上 晴司氏

また「こみぷら」は、介護・医療関連事業者と連携し、服薬指導にも役立てられています。NTTビジネスソリューションズ河上 晴司 氏は次のように語ります。「服薬指導は法律で実施が義務化されていますが、地方では介護拠点や病院、薬局から利用者宅への移動に多くの時間がかかります。『こみぷら』なら、ビデオ通話機能を利用することで、オンラインでの対応が可能になり、移動の手間を省くことで業務の効率化につながります」

大分県の株式会社ナガヨシ(以下、ナガヨシ)は、福祉用具レンタル・販売を行うなかで、介護事業者や医療関連組織の人材の不足に危機意識を持っています。同社は、DXをはじめとする業務効率化を実現に向けて、アプリを搭載したタブレットの利用を検討していましたが、利用者にとって操作のハードルが高いという課題がありました。

「タブレット端末は持ち運びができる反面、家の中での置き忘れや、落下・水濡れによる故障のリスクもあります。多くの機能を備える一方で、使い方を忘れてしまう方も少なくありません。自治体や介護向けの取り組みでは、常時電源が入り、声かけや情報配信が確実に行えることが重要で、それには据え置き型のAlexa Smart Propertiesが最適です」(河上氏)

Alexa Smart Propertiesは、マンション、ホテル、高齢者施設向けにカスタマイズされたAlexaサービスで「こみぷら」でも活用されています。

セットアップ済み端末で初期設定が不要、高い設置性が特徴的な据え置き型Echo Show

「こみぷら」の導入には、利用者宅にAlexa Smart Properties対応のEcho Showを設置します。タブレット端末やスマートフォンでは、端末ごとにアカウントを作成し、操作も利用者自身が行う必要がありますが、Echo Showでは利用者による初期設定が不要です。あらかじめAlexa Smart Propertiesを導入したソリューションプロバイダによってセットアップが行われた状態で提供されるため、電源を接続するだけですぐに利用でき、導入時のサポートも軽減されます。

「セットアップ済みのEcho Showであれば、導入する事業者も端末設置における利用者へのサポート負担を減らせて、本来の業務に集中することができます」(河上氏)

操作は音声で行えるため、利用者が介護事業者や医師、薬剤師からの呼び出しに受話器をとる必要もありません。「ベッドで過ごす方や、椅子から立ち上がることができない方でも、音声で簡単に応答できます」と河上氏は話します。

また、ビデオ通話では、電話よりも分かりやすく内容が伝えられると、河上氏は話します。「実際のものを画面でお示ししながら伝えられるので、服薬指導は薬を見せながら説明することができます」

一度の指導で情報が伝わることで、誤った理解のまま指導が進むリスクを防止できます。

お客様の要望に応じた機能を、高速かつ臨機応変に開発

河上氏は「こみぷら」について、企業や自治体の要望に対して、柔軟に応じる体制が評価されていると語ります。

「ナガヨシ様から2024年1月にいただいた相談では、私たちは機能が定まったパッケージをそのままご提供していません。まずはお客様が抱える課題を伺いながら、最適な解決方法を探っていきました。大切にしているのは、“もっとも適した方法を、もっとも迅速に、もっとも無理のないコストでご提案する”という姿勢です。状況に応じて臨機応変に対応できるという点が、私たちNTTビジネスソリューションズの強みです。お客様の要望を吟味し、できるだけ早く具体的な提案をする。スピード感と柔軟性、提案力を、ナガヨシ様にも高くご評価いただいていると感じています」(河上氏)

2025年2月から、ナガヨシにおいても実証実験が進められています。実験では、Echo Showを活用し、ホーム画面に必要な情報を常時表示したり、設定した時間に音声アナウンスを流したりする機能が追加されました。例えば、薬剤師や家族が服薬の時間を設定しておくと「薬の時間です」と音声でガイドを行うことで、薬の飲み忘れ防止に活用することを検討しています。こうした取り組みにより、「こみぷら」とAlexa Smart Propertiesを組み合わせた活用は、今後ますます広がっていくと期待されています。

SP様プロフィール

自治体や企業向けに、情報通信システムの提案、構築、サポートなど、法人向けのICTサービスを提供。お客様の要望を細かくヒアリングし、ICT機器を活用したソリューションの提案や、通信サービスも含めたシステム構築で、課題の解決や業務効率化を支援する。

*取材時期 2025年2月

*記載内容(役職、数値、固有名詞等)はすべて取材時の情報です。