Amazon Alexa Smart Propertiesで生活に溶け込む情報技術を活用したエネルギー管理機能を提供―自然な節電行動を促すために穏やかな情報接点をつくる

Keith Tanaka Aug 29, 2025
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Smart Properties
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Alexa Smart Propertiesを活用したサービスの特徴
 
  • 電気やエネルギーの利用量、予測使用量を分かりやすく可視化
  • 生活環境と調和するデザインにより穏やかで快適なUI/UXを提供
  • 効率的なエネルギー活用に向けて、居住者に適切な情報を提供し行動変容を促進

会社名: mui Lab株式会社

業種: 情報通信業

設立: 2017 年10 月27 日

所在地: 〒604-0966 京都府京都市中京区夷川通柳馬場東入俵屋町295 番地1

従業員数: 26 名(2025 年6 月1 日現在)

ホームページ: https://muilab.com/ja

生活空間に柔らかで温かいデジタル情報体験を提供する「muiプラットフォーム」

「人と自然とテクノロジーの穏やかな調和によって心ゆたかなくらしと社会を創造する」という企業ミッションを掲げるmui Lab株式会社。同社の主力となる事業の1つが、独自のIoTクラウドシステムと、天然木を用いたスマートホームコントローラー「muiボード」を組み合わせた「muiプラットフォーム」の提供です。

muiプラットフォームは、人とデジタル情報の接点を穏やかにする「Calm UI(カーム・ユーアイ)」を取り入れ、あらゆるIoTデバイスやシステムを“穏やか”なものにし、生活空間において柔らかで温かいデジタル情報体験を提供しています。

代表取締役の大木 和典氏は、「私たちは、『カーム・テクノロジー(生活に溶け込む情報技術)』という考えに基づき、設計思想と日本的な美意識を融合させ、“無為自然”なデジタルテクノロジーの佇まいを設計し、社会へ実装することを目指しています。そのため、muiボードにより穏やかな情報端末の姿を具現化するとともに、最新の技術力を組み合わせることにより、あらゆるサービスをつなげられるプラットフォームを構築しています」と説明します。

現在では、住宅や不動産、エネルギーに関連する住生活サービス市場向けに力を入れています。

省エネ化を促進するための仕組み作りが急務に

そして近年注目が高まるスマートホームでは、さらなる省エネ化の推進に向けて、日常的に使われる細やかな家電のコントロールをはじめ、HEMS(Home Energy Management System)を活用したエネルギーの可視化についても、より高い精度が求められているといいます。

また、電力・ガスといったエネルギーインフラ企業においては、電力需給のひっ迫時におけるユーザーの節電行動の促進が重要な課題となっています。そのため、企業側から発信される節電要請通知の既読率や、実際の節電行動率の向上が求められており、ユーザーにそれらのサービスを継続的に利用してもらえるような仕組みの構築が模索されていました。加えて、電気・ガス自由化の進展に伴い、競争優位性をもたらすような付加価値サービスの提供も喫緊の課題となっています。

DXを加速させながら、これらの課題解決に貢献するものが、muiプラットフォームです。大木氏は、「居住者にCalm UIによる『温もりのある、心地よいタッチポイント』を提供するとともに、デジタルを活用した利便性の向上をもたらします」と話します。

mui Lab株式会社 共同創業者 代表取締役 大木 和典氏

電力利用量などの可視化に、Alexa Smart Propertiesを活用した「エネルギーダッシュボード」を開発

mui Labが開発したアプリやプラットフォームは、エネルギーインフラ企業の提供する賃貸マンションの管理サービスに採用されています。生活環境と調和するように考えられたアプリで、エネルギー使用量や室内の温度や湿度などの情報が見えるようになっています。

そしてmui Labは、Alexa Smart Propertiesを採用し、エネルギーマネジメントに特化したAlexaスキル(拡張機能)である「エネルギーダッシュボード」を開発しています。Alexa Smart Propertiesは、住宅やマンション、ホテル、高齢者施設向けにカスタマイズされたAlexaサービスで、2023年12月から日本で提供が開始されているものです。

エネルギーダッシュボードは、muiプラットフォームで培われた知見を活かし、家庭内の電力の使用状況や料金の可視化だけでなく、節電要請に対するレスポンス機能(管理者から居住者に節電を促す機能)も提供することで、居住者の省エネ意識を高め、効率的な電力利用を促すものです。日々のエネルギー使用量の確認をはじめ、運営企業からのお知らせの受信、省エネに関する情報の閲覧、そして節電チャレンジへの参加も可能としており、これらの情報はAmazonの「Echo Show」シリーズを通じて提供されています。

mui LabがAlexa Smart Propertiesを採用した理由について、大木氏は「私たちのCalm UIをAlexaスキルに実装することにより、他にはない独自のユーザー体験を創出できると考えました」と話します。実際にエネルギーダッシュボードの開発では、Calm UIを取り入れることで、居住者の生活環境との調和やユーザー体験を重視しています。例えば電力使用量の通知では、数値の読み上げではなく、画面上のアニメーションで直感的に情報を伝えられるようなデザインを採用しています。また、通知音も柔らかいチャイム音を使用し、ユーザーの生活リズムに溶け込むよう配慮しています。

エネルギーダッシュボードは、大阪ガス株式会社の実験集合住宅「NEXT21」の一部住戸に試験導入され、実証実験が実施されました。

「スマートフォンなどに比べて、家庭内に設置されているデバイスのほうが、電力量などの通知にはストレスなく情報を見てもらえて、居住者の行動変容も促せるという仮説に基づき実証実験を行いました。生活動線にデバイスが設置されているからこそ、節電について“確認しなければ”というプレッシャーを感じることなく、家族とも自然に情報を共有できます。Calm UIによって、暮らしのなかで穏やかな情報接点をつくることが、無理のない節電習慣へつながると考えています」(大木氏)

介護や医療、福祉の領域にもAlexa Smart Propertiesを活用したサービスの展開を計画

大木氏は、「個人のAmazonアカウントを利用しなくても、事業者が特定のAlexa 音声サービスを提供できるなど、柔軟性の高さもAlexa Smart Propertiesの優位性の1つであると捉えています」と強調します。

そしてmui Labは、Alexa Smart Propertiesのソリューションプロバイダーとして、muiプラットフォームをはじめとしたユニークなサービスによって、人々の暮らしを豊かにするデジタルライフを提案していく考えです。大木氏は、「エネルギー分野にとどまらず、今後は介護や医療、福祉の領域にもAlexa Smart Propertiesを活用したサービスを展開していきたいと考えています。介護や医療活動におけるAlexaを通じた利用者との円滑なコミュニケーションや、スマートホーム技術を活用した独居高齢者の見守りなどはその一例です」と話します。

「さらに将来を見据えると、mui Labはエネルギーマネジメントに加え、より心地よいスマートホーム体験を広げていきたいと考えています。「家そのものがデバイス」となり、テクノロジーを意識的に操作しなくても暮らしが整う。そんな住まいのあり方を描いています。こうした取り組みに、Alexa Smart Propertiesが持つ特徴を活かしながら、さらなる快適さと安心を両立したユーザー体験を創出していきたいと考えています」(大木氏)

SP様プロフィール

mui Labは、京都市中京区に本社を置く、カーム・テクノロジーのスタートアップ企業です。独自のIoTクラウドシステムとスマートホームコントローラーを組み合わせた「muiプラットフォーム」を提供。自社製品や他社との協業を通じて、穏やかなスマートホームの体験を世界に普及させることを目指しています。

*取材時期 2025年2月

*記載内容(役職、数値、固有名詞等)はすべて取材時の情報です。