会社名:株式会社LIXIL
業種:建材製品の開発
設立:1949年9月
所在地:〒141-0033 東京都品川区西品川一丁目1番1号 大崎ガーデンタワー24F
従業員数:53,206人(連結従業員数 2025年3月現在)
ホームページ:https://www.lixil.co.jp/
日本を代表する住宅設備機器メーカーとして、住宅メーカーやディベロッパー向けに住宅や建築関連製品を幅広く展開している株式会社LIXIL(以下、LIXIL)。近年ではIoTを積極的に活用し、スマートホームを実現するシステムとして、IoTホームLink「Life Assist2」を開発し、戸建住宅を中心として、住宅メーカーやディベロッパーへの導入が進んでいます。
スマートホームは、昨今住宅市場で大きな注目を浴びていると、株式会社LIXIL デバイス事業部 IoT事業推進部 部長 倉林 慶太氏は話します。これまでLIXILでは、戸建住宅向けにIoTを備えた住宅設備を開発してきましたが、スマートホームの需要の高まりから、集合住宅やマンションにも採用したいという要望が、住宅メーカーやディベロッパーから上がっていました。
「2023年の8月ごろから、集合住宅向けのスマートホームについて、必要なシステムを検討してきました。集合住宅は共用部分があり、それに伴って各戸を一括で管理できる機能を要するのが、戸建住宅との大きな違いです。そのため、従来のLife Assist2をそのまま活用するのは難しく、集合住宅に合わせたソリューションを探していました」(倉林氏)
LIXILでは、管理会社にとって建物全体を一括で管理でき、管理組合からの通知を配信する、理事会からの配布したアンケートを回収するといった機能が必要となっていました。
倉林氏は、「スマートホームは、子育て世代へのサポートや高齢者の見守りに効果が期待できるものですが、スマートホームの機能を活用して、さらに当社はマンション内の住民同士のつながりを大切にしたいと考えています。掲示板の機能を作って、住民同士で不要になった子供用品を譲り合ったり、『ちょっとお醤油貸してもらえませんか』と呼びかけたりすることができれば、スマートホームを通じて集合住宅で楽しく快適な暮らしが実現できます。住宅メーカーやディベロッパーごとに異なる集合住宅の仕様に合わせて、こうした機能をカスタマイズできるシステムの検討を進めました」と続けます。
集合住宅では、物件ごとに異なる仕様に合わせていく必要があり、その際にスマートホーム側のシステムのカスタマイズが必要になります。倉林氏は、「エントランスの有無、宅配ボックスの有無、管理形態など、共用部の仕組みとの連携やカスタマイズを検討していたところ、AmazonからAlexa Smart Propertiesの紹介をいただきました」と話します。Alexa Smart Propertiesは、企業や地方自治体が、Amazonと契約するソリューションプロバイダーを通じてAlexaをマンションやホテル、高齢者施設向けにカスタマイズできるサービスで、2023年12月から日本で提供が開始されています。スマートスピーカーを通じて、音楽の再生(※)や家電の操作ができるほか、管理や初期設定も効率的に行えます。
LIXILでは、Alexa Smart Properties を利用したLife Assist2を、新たに集合住宅向けのサービスとして開発していきました。 Life Assist2では、住民同士の繋がりを意識した機能や、Alexa Smart Propertiesとスマートキーをはじめとした住宅機器との連動機能など集合住宅向けのスマートホームとして必要なサービスを組み込んでいきました。
Alexa Smart Propertiesの導入や、アプリケーション内のスキルの開発は、お客様のニーズに合わせた継続的なサポートや高い技術力を誇る株式会社NTTデータ(以下、NTTデータ)と協業しながら作り込んでいます。
今回、LIXILが進める集合住宅向けのシステム開発にあたっては、NTTデータの高い技術力はもとより、Alexa Smart Propertiesの高いカスタマイズ性や信頼性を評価したといいます。「実現したい機能を組み込むことができ、建物ごとの要望に合わせた設定変更やカスタマイズができました。NTTデータ様が開発した「ボイスタ!」を活用することで、集合住宅のスマートホームシステムの同じようなシステムを一から自社開発したときと比較して、開発期間も約3分の2に短縮できました」倉林氏は振り返ります。
新たなLife Assist2は、「住まいの未来」をコンセプトとしたIoT実験住宅「みらいえらぼ」で、2024年からAlexa Smart Propertiesを活用した試験運用を開始しています。多くの来訪者からのフィードバックを反映しながら1年ほどで完成しています。
現在IoT実験住宅のみらいえらぼでは、4台のAmazonのEchoデバイスが設置されています。Echo端末を使った音声コントロールのほか、LIXILではLifeAssist2として、スマートフォンのアプリケーションからの操作や、物理的なボタンでの操作も可能となっています。「多くの方にわかりやすく操作いただけるよう音声での操作もできるのが大きな特徴です。システムの要となるEcho端末は設置も簡単で、Alexa Smart Propertiesで複数のEcho端末を一括管理できるので、各戸で個別に設定する必要がありません。電源を入れればすぐに使い始められます。管理会社からの情報配信やアンケート機能も、カスタムスキルとして容易に追加できるので、カスタマイズにかかる追加の開発コストも削減することができました」と倉林氏は語ります。
みらいえらぼでは、Echo端末に接続されているスマートホームデバイスは約80種類。スマートキーをはじめ、高所の窓やカーテン、照度計や温度計などの各種センサーとも接続し、多くのスマートデバイスを通じて利便性の高い、新しい生活を体験できる場になっています。Life Assist2ではセンサーやカメラを活用して、外出したら自動的に防犯モードに移行するといったことも可能になります。
また、今後は各種センサーも活用して、より快適で安心できる暮らしをサポートするシステムにしていきたいと、倉林氏は語ります。
「蓄積されたデータをもとに、利用者のニーズや行動をいち早く把握することで、新たなサービスを提供したいと考えています。動線の変化から普段と違う行動を見つけ出して、例えば認知症を早期発見するといった研究も進めています」(倉林氏)
住む人の利便性だけでなく、安全、そして社会課題の解決など、暮らしや街全体をよりよく変えていくスマートホームの可能性を、今後もAlexa Smart Propertiesが支えていきます。
「世界中の誰もが願う、豊かで快適な住まいの実現」を目指し、2011年に5社が合併。キッチンやバスルームなどの住宅設備、ドアなどの建材やエクステリアなど、幅広い住宅関連製品の開発・製造・販売まで一貫して行っている。国内のみならず海外にも広く事業展開しており、近年はIoT技術を活用したスマートホーム事業にも力を入れている。
*取材時期 2025年1月
*記載内容(役職、数値、固有名詞等)はすべて取材時の情報です。