Alexa開発者コミュニティーへの貢献が大きい開発者を称えるためのプログラム、Alexa チャンピオンとして今回、新たに世界で１２人が発表され、日本からも初めて２人のチャンピオンが誕生しました。それぞれのチャンピオンのこれまでの活動や、今後について伺ったインタビューをご紹介します。

岡本秀高さんインタビュー

― Amazon Alexaを知ったきっかけを教えてください。

社内でAlexaが話題になっていたのがきっかけで、２０１６年春くらいにはさわり始めていたと思います。当時は日本ではまだEchoデバイスが使えなかったので、開発コンソールを使って英語で作り、海外のイベント出展の際に披露したりしていました。当時の英語版Alexaはシノニムやスロットが少なく、スロットをうまく拾ってくれなかったり、イベントで披露するために自分で一生懸命シノニム的なものを作ったりしていました。私が英語が得意でないのもありますが、言ったことと全く違う言葉をAlexaに拾われることもありました。でも、今はそんなことは全然なくなり、かなり気軽に使えるようになりました。シノニムやスロットも充実してずいぶん楽に作れるようになり、進歩を感じています。

― 最初はどのあたりに魅力を感じましたか？

音声で何か指示できる仕組みはほかでもありましたが、Alexaは裏側で自分でコードを好きに走らせて開発できる点が面白いと思いました。あと、進化するスピードの速さです。AWSの製品アップデートの頻度や速さは知っていましたし、Amazonの購入者向けレコメンデーションの精度もすごい勢いで上がっていくのを見ていたので、Alexaも同じように、アップデートでどんどんよくなっていくのだろうという期待がありました。今のうちから触っておいて、みんなが始めたときには、既にやっている側になりたいな、と。

― 日本にも昨年Alexaが来ましたが、どう思いましたか。

開発者用情報の日本語化が速くてびっくりしました。SDKやCLIも含めて日本語化されているのでとても助かりますし、人に勧めるときに「これ見たらいいよ」と紹介しやすいという意味でも、ありがたいです。Alexaは、対話モデルをコードで書けて、コードベースで色々できる点でも、ディベロッパーとしては助かりますね。

― 既にスキルを５個開発されていますが、今後はどのような分野での進展を期待しますか？

Alexa for Businessの分野になるかもしれませんが、観光案内所や役所の窓口に置いてあるといいなと思います。ちょっと聞きたいときに聞けるようなところにあるといいなと。米国で始まったBlueprintsも、日本に来るとみんな一気に使いだすのではないかと思います。Node.jsやPythonに詳しくない人でも、まずスキルを作ってみることができるというのは魅力です。

― これまでコミュニティーではどのような活動をしてきましたか

AWSのユーザーグループJAWS UG神戸支部では、月１回のペースでAlexaの勉強会をやったりしていました。JAWS UGだとLambdaを使ったSDKの話が多く、WordPressのコミュニティーではフラッシュブリーフィングの話がメインですね。まずRSSでとりあえず作ってみて、そこからさらにやってみよう、という感じです。コーディングなしでスキルを作れるStorylineをやってみよう、というような話もしています。

― 今後どのようにユーザーグループ活動をしていきたいですか？

オープンデータ系とCivic Tech系は、これからやるとみんな楽しいかなと思っています。たとえば地震の時、駅で駅員さん全員が最新情報を把握できるようにするのは大変かもしれませんが、AlexaだとAPIを更新すればすべての情報が新しくなりますよね。私は関西に住んでいるので、６月１８日に大阪府を中心に起こった地震に遭いました。急いで机の下に入ったのですが、強い揺れで身動きが取れない中、今どこで何が起きているのか正確に知りたい、と思いました。揺れが収まってからよく考えたら、Alexaが自分の地域の情報を正確に教えてくれたり、「ガスの元栓を消してください」など、この後どうしたらいいのかを教えてくれたりすれば、ちょっと落ち着いて動けるかも、と感じました。緊急事態で最後に人が頼れるのは「声」かもしれません。緊急地震速報をAlexaから聞ければ、という意見も見ました。日常的には使ってほしくないスキルですが、いざというときに役に立つ可能性は大きいと思います。コミュニティーとしては、参加者が手弁当でやりたいことを持ち寄って、アイデアを交換しあえるような、緩い感じで進めていきたいですね。

(インタビュー実施：２０１８年６月)

岡本秀高さんのAlexaチャンピオンページ(英語)

Amazon Alexa Japan User Group(AAJUG): https://www.facebook.com/groups/amazon.alexa.jp/